自分の言いたいことが相手に分かりやすく伝わる文章を書くには、どんな作文の技術が必要なのか。読む人の気持ちを出だしで掴み、最後まで読んでもらう文章を書くためには、どういう工夫をしたらいいのか。この二点を大きなテーマとして、例文を引きながら検証していったのが本書である。<P> 文章を論理的で分かりやすくするためには、どんな点に注意を払えばいいのか。この点を記した本書の前半では、“、(テン)の打ち方”と“助詞の使い方”を見ていく件りが参考になった。どこにテン(読点)を打つかで文章の意味が全く違ってくることや、助詞の一文字が抜けているために誤解を招く文章になってしまうことなどが論理的に説明されている。こうして文章を書いていても、そうした部分はただなんとなく書き流してしまっていることが多い。ひとつのテン、ひとつの助詞をおろそかにした結果、こうした分かりづらい文章になったのですよと例文を示されて、これは心にとめておかなければという気持ちにさせられた。<P> 本書の後半では、無神経な文章とはどういうものか、文章のリズムの問題、文章を読ませる効果的な書き出しといった点について、新聞の記事や投書欄、文豪の文章を引きながら検証していく。なかでも、その文章を面白いと読み手に思わせるためには書き手が面白がってはならないということを記した件り(第八章「無神経な文章」の中の“自分が笑ってはいけない”の部分)が印象に残る。<P> まるで自分の文章のことを言っているようではないかとぎくりとさせられた箇所もあり、とても刺激を受けた一冊である。読み手の誤解を招かない、分かりやすい文章を書くことを心がけていきたいと思った。
英語の文法は一応勉強してきた(使いこなせるかどうかは別の問題ですが)。でも、よく考えてみればわかることだが、ちゃんとした日本語文法や作文の技術について、誰かが教えてくれただろうか?私の記憶では、そういうことはなかった。<P>日本語がどういう構造をしているのかを、わかりやすく教えてくれる。<P>一度目を通しておくとよい。必ず、ためになる。この本のように、自信をもって人に勧められる本は、ほんとうにめずらしい。<P>読めばきちんとした日本語がすぐに書けるようになるというわけではない(私の文章を読めばわかる。ぐちゃぐちゃです)。けれども、必ずプラスにはなる。<P>文章を書くときだけでなく読んでいるときも、句読点の打ち方、修飾語、助詞の三点についてものすごく敏感になる。気!なりすぎて、本を読んだり、メールを送ったりするときに時間がかかりすぎるようになってしまうのが欠点といえば欠点かもしれない。とるに足らないことではあるけれども。
新聞記者のような文章を書くための作文技術指南書。<BR>内容は豊富で、句読点の使い方や助詞の使い方など、非常に細かいものまで丁寧に解説されている。<BR>300ページ以上もあり、ちょっと量が多めだが、最初の方だけでも十分使える。<BR>途中であきらめても、読んだら読んだ分だけ、自分の力になるだろう。<P>内容はかなりかたい。<BR>筆者が新聞記者ということもあるだろうが、本文それに例文ともに、非常にかたい文章である。わかりやすい文章を書くための技術というよりも、誤解を生じさせない正式な文章を書くための技術といった方がいいかもしれない。<P>あと、20年以上も前に出版されたということもあり、内容的な古さは否めない。<BR>いくつか、時代に合わない部分も多く見受けられたことは残念である。