これは食べ物でいうならば、『珍味』なのです。<BR>巧い文章が読みたい、いい話が聞きたい、感動したい、涙を流したい、知識が欲しいなどと云う人、金を払ったんだから、それなりのものを欲しいと云う人が読むべきものではない。<BR>この作品を読んで「これはマズイ」「面白くない」など云う人がいても、何も驚きはしないし「これは絶対面白いから読め」とも勧めない。<P>そもそも『ドグラ・マグラ』というタイトルが良く出来ているのではないか。ここで興味を示すか、示さないかで、すでにふるいにかけられているのである。面白い本はたくさんある。その中で『ドグラ・マグラ』というタイトルの妖しい本を手に取るか取らないか。<P>これをミステリや推理小説として読む人がいますが、それはオススメしない。オチが読めたなどということは、何の意味もないことなのです。これに関してというより、久作の作品に対しては、筋の通ったものを求めることに意味はありません。<P>夢野久作はこのような文体でしか物が書けない人では決してない。当たり前だが狂人ではない。それは理解しておかなければいけない。久作にも、もっと読み易いものはいくらでもある。というより「ドグラ・マグラ」が特に読みにくい種類のものなのだから。<BR>一見まわりくどいような、どろくさいような、間抜けな文体は『ドグラ・マグラ]の世界観に合わせたものである。あの独特な倦怠感のループはこの本でしか、おそらく味わえない。
日本から生まれた文学で唯一の、世界遺産とも呼べるべきスケールと独自性を持った作品。ドグラマグラにおいて体現されている思想の普遍性はドストエフスキーに匹敵する。
高校時代、読書家の友達から薦められ、普通に名作を期待していた私は大混乱!感想を求められて、返答に困るほど気持ち悪い作品でした。<BR>ホントに狂人が書いたアマチュアの作品かと思いました。<BR>ぐるぐると自分自身が実験をされているような感覚を味わいました。<P>でも、独自性はあるかも。奇妙奇天烈な作品を求めている人にはお勧め。あまりのインパクトに、名前と作品名はずっと忘れられませんでした。<BR>それに、みなさんのレビューを読んでいたら、私の気付かない深さがあったのかも知れないと、もう一度読んでみようかとも思いました。<BR>でも、やっぱり苦手かも。<P>感性の柔らかい子供のうちは読まない方がいいです。(読まないと思うけど)