カポーティの「冷血」は、結末が分かっているのに、いやいやなのに、読ませる腕力がある。裁判が終わってからの細かい描写は<BR>意地が悪い程に突き刺さった。2度と読みたくない。村上春樹の「アンダーグラウンド」は読むのに決心がかかりそう。<P>この本の場合「ギャングスター(gang ster)」の告白本というより、時間と人間関係を再構成した、飯干の力量が大きい。<BR>それだけか?といわれたら「それで十分だ」と答えておけ。<P>「所詮、ヤクザなど詰まらない人間でしかないし、戦争を起こす政治家や軍人もつまらない人間なんだ」という事は、<BR>みんなが知っている。知っているけど「大きな声で話す」のは控えられる。だから声のでかい奴は、少なくとも、正直なんだ。<BR>石油ショックの時代に高い酒を飲んで、外車に乗っているあれは何だ?という世間の疑問に対して、週刊誌を使って<BR>「あれはヤクザ」といっただけの人。だから、飯干は偉い。出来上がった時代に走ってる人間なんて、石田衣良だっけ?<BR>立派だけど偉くはないぜ。
名作東映映画の原作ですが、映画とは目指す方向が違うものだと理解して読んでいただけると、より楽しめるかと。もちろん、映画の役名と本書の登場人物(実名)を対比させて読んでも楽しいんですけどね。<P>私は本書を20年前、広島市で予備校に通っていたときに読みました。田舎から都会・広島に出て、喧噪に驚きつつ、広島という街を理解する一助になるかと思って(笑)。同じアパートに抗争当時を知る職人さんがいたりして、本書に登場する地名一つにも迫力を感じましたよ。<P>時は流れ、今読むと、本書の普遍的な価値がぐぐっと迫ってきます。本書は単なるご当地本ではないし、狭い特殊な業界の本でもない。名作映画の原作、で終わるものでもない。本書で描かれる理不尽さ、人々の醜さ、逞しさはすべての時代・階層を通じて私たち日本人が共有するものです。自分と無縁ではない。<P>本書が書かれてからずいぶん時が経ってしまいましたが、時を経たがゆえにいっそう新しい部分が光る本だと思います。
あまりに、不合理というか理不尽な世界に呆れました.<BR>堅気の世界にいますが、現実も不合理で理不尽なこと<BR>が多いと体験しました.