本書はチェ・ゲバラがボリビアでのゲリラ戦の最中に書いた日記である。そこに描かれているのは理想に向かって突き進むゲバラの姿と極限状態に置かれた人間の姿である。極限状態に置かれて時として自分を見失いかけてしまったのはゲバラも同じであるが、そんな状態に置かれても淡々と冷静に現状を分析し、簡潔な文章でそれを綴ったゲバラという人間の凄まじさが伝わってくる。巻末の小伝もシンプルでわかりやすい。
もし、あなたが若くて初めて『ゲバラ日記』を手にするならば、新刊を買うことをお奨めします。<P>その偏見は、僕の苦い経験から来ている。僕は高校生の時に何気なく立ち寄った古本ワゴンセールのなかで、たしか朝日新聞社版に出逢った。何の予備知識もなく彼に接した僕は10ページほどで一気にでのぼせた。が、その後が良くなかった前の持ち主が引いた線が、僕にははさして重要ではないと思える場所に引いてあったのだ。で、重要じゃないところに引いてあったからこそ、それはのど元に小骨のように突き刺さ去った気分になった。結局ニ、三年後その小骨を取り去るために僕はわざわざ「初版本」を買う羽目になった。<BR>幸か不幸かこの本はそのときの己を投影しやすく、他人が見るとえっというとこに線が引きたくなるような類の本である。<P>まっさらな人にはまっさらな『ゲバラ日記』を読んでほしい。だから、内容のことは書きません。だって感じるところがこれほど違う本はないってことが身に染みてますんで。
あのチェゲバラの題名どおり日記。ゲリラ戦をどう戦ったのかが自らの言葉で書かれていて、歴史学的にも貴重な本。まさしくゲバラファンなら手にしておきたい一冊。チェゲバラの名前は聞いたことあるんだけど・・・という人にはあまりお薦めできない。彼の思想や人生を知るのには洋書ならJon Lee AndersonのChe Guevara: A Revolutionary Lifeを、邦書なら三好徹のチェゲバラ伝をお薦めしたい。