もうすでに内容はご承知だろう。若き医学生ゲバラの南米旅行記である。<BR> この豊かな感受性と純真な心を持ったままゲバラは医師になってしまったのであろう。そしてその眼で不当な貧困にあえぐ南米のひとびとに接し、何とかしなければ、の思いでキューバをはじめとする革命に身を投じていったのだろう。ふつうは革命が成功したとは言えまだまださまざまな問題を抱えるキューバのために働こうとするのが常人の選択なのに、コンゴやボリビアといった新たな革命に参加しようとするゲバラの栄光と悲劇はこの頃からはじまっていったのだ。<BR> なお、残念ながら翻訳には少々難がある。しかし、原文の魅力を損なうほどではないのが幸いである。
キューバ革命の英雄チェ・ゲバラが若い頃友人と行った南米の旅行記。今から50年以上も前にバイクで(途中で壊れてしまったが)アルゼンチンから南米大陸を北上したことがすごい。そしてほとんどお金を持たない無謀な旅行で彼らに出会った人たちの多くが、身なりもかなり汚くうさんくさかったであろう二人を受け入れてる事に驚かされる。それはやはり彼ら二人の人柄のせいであったのではないかと想像される。<BR> コロンブスに発見されてしまったアメリカ大陸では肌の色による差別が今よりきっと激しかったであろう。そんな中でアルゼンチンの裕福な家庭に育っていながら革命に身を投じる事になった若い頃のチェ・ゲバラを彼の旅行記を通して身近に感じることができる。何一つ不自由する事のない生活をする事も可能であったはずなのに、ハンセン氏病の施設を訪問しながら旅をする事を選んだ彼の将来が革命へと繋がっていったのは偶然ではなかったのかもしれない。
映画を観た後にもっと深く知りたくなり、原作を読みました。映画で取り上げられていた他にもたくさんのエピソードがあり、エルネストとグラナードと共に旅を楽しむことができました。読み終わると同時にまだ見ぬ南米大陸への憧れが募りました。<P>ただ、翻訳作品なので仕方ないのかもしれませんが、日本語の文章としていまいちよくわからない表現が多く、理解に苦しむ場面もいくつかありました。映画を先に観た方が想像しやすいかもしれません。<P>映画と原作を鑑賞した今、エルネスト・チェ・ゲバラが何を求めて革命という行動に走ったのか、その心の動きの一端を感じることができ、私の心も少なからず震える思いです。キューバ革命という行動が正しかったのか、それはわかりませんが、少なくともその精神が生まれていく過程での彼の心の純粋さに、私の心は動かされました。