決してヒトラーを支持しているわけではないが、現代日本のように、政治的経済的に行き詰まった状態で、個人としてどう意識を持ったらよいか、答えの一つを提示していると思う。ヒトラーの行動は結果的に悪いものとして歴史に名を残したが、一方でヒトラーユーゲントの青少年教育など、プラスの遺産も残している。1929年のドイツの大恐慌化にあって、一つの強力な精神的方向性を与えたことは、倦怠感と主体性欠如のため、何も自分から行動できない現代の日本庶民に比べたら、余程まともな生きる力を発揮している。一読の価値あり。特に、教育から崩壊している日本の将来の子どもの方向性を考える上でも、またある面ではヒトラーを反面教師として捉えてもおもしろい。下手な経済評論家のベストセラーを読むより、ずっと価値あり!
この本は「わが闘争」の続編となっているが、前作に比べ迫力、知名度ともはるかに及ばないだろう。目新しいことといったらヒトラーがアメリカをどのように捉えていたか、ぐらいだろう。その他は「わが闘争」で一度述べられたことの繰り返しだった。<P> だが、文章が「わが闘争」では抽象的だったのに対してこの作品では具体的になっている。「わが闘争」をより深く理解するという意味においては、この本は有益かもしれない。<BR> ヒトラーがこの時点で何を考えていてこの本にかかれたことがどの程度実行されたかを知れば、ヒトラーに対してまた違った見方ができるかもしれない。