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兎の眼 ( 灰谷 健次郎 )

 教育者としてではなく、大人としてではなく、<BR> 一人の人間としてどう向き合えるか <BR> そのことじゃあないかと僕は思います <BR> まだ23の若造ですけども そう思うんです <BR> とっても読んで良かった 生き直した本です<BR> 多くの若者に薦めたい 特に20前後に!

はじめて、レビューを書きます。3人娘を保育園に通わせて働くママです。子育てとフルタイムの仕事に追われる毎日で、小説を手にすることもなかった毎日でしたがふとしたチラシから灰谷氏を紹介する文章を目にする機会があり最初に手にした本がこちらでした。神戸で小学校の先生をされていたという氏の経歴から、私には、この4月より小学1年生になる長女がおりますので興味がわかないはずはありません。結婚したばかりの新任の女の小谷先生が、受け持ちクラスのこどもたちへそそぐその愛情いっぱいの奮闘ぶりには、ぐんぐん引き込まれるばかりでした。文字も読めない、話もできない、トイレのしつけができていない、いろいろな状態の子どもたちに真摯に向き合うその姿は母親以上のものがありました。また、彼女が結婚した相手が、自分の妻を腰掛のつもりで先生をさせているとしか理解していない状況など現代の夫婦のあり方を問う私たち世代へも考えさせられる課題を含んでいて決して児童文学とジャンルづけるだけの内容ではなかったです。この1冊をきっかけに私はどんどん、灰谷文学にのめり込みそうです。自分の子どもたちと一緒に成長していけるバイブル本になりそうです。

 本書は、灰谷健次郎さんが17年の教員生活をやめ、沖縄の島で働いた後に初めて書いた小説です。<P> 関西のゴミ処理所の子供達(特に奇癖をもった鉄三)と、小学校教員(特に新任の女性教員の小谷先生)の関係を縦糸、様々な教員の考え・夫婦関係・抵抗運動・裏切りとその記憶の抱え込み・障害者もしくは精神薄弱児と呼ばれる子供とのつきあい方・仏像の表情・ゴミ処理所の移転問題などを横糸にして、人間関係の成長を描いています。<P> 児童文学のコーナーに置かれる小説で、既に30代も半ばをこえた私から見ると、確かにその人間関係の構図がやや分かり易過ぎるという所もあるのですが、小説という形式は、(研究論文のような、いわば整地された形式とは異なったかたちで、)「生まれて来てしまう」人間関係の諸相を上手くうつし出す形式で、この小説でも「どうしようもない」人間関係を「どうしようもない」ままに、しかし、見つめて、感じ、受け入れて、可能性に向かって歩みだす姿勢があって、感動しましてしまいました。<P> 他人事とされかねない問題を自らのこととして引き受けるという人間関係が描かれる一方で、生き方の違う人間が一緒に暮らすことの大変さが描かれることに、おそらくこの作品の中に埋め込まれた著者と読者達との最良の課題があるように思われました。

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