アメリカのみならず、西欧の列強にとって、ロシアへの対抗勢力として英米が日本を「われわれの一員」となるべく日本を育ててきた、という視点がわかりやすく、同時期に田原総一朗の「日本の戦争」と並行して読んだことでいっそう興味深かった。<BR>田原が内側からの日本の動機を描いたことに対し、本書も同時期の19世紀後半にさかのぼって、いかに西洋列強にとって、安定して「文明化した国家」である日本がある程度力をつけたプレゼンスをアジアに展開することを必要としていたか、そして「日本人は生来野蛮で好戦的」というのが正しくないかを日本文化に対する知識をもって詳述する。<BR>アメリカが日本の「占領」にこだわったことはなぜか、太平洋の島伝いに旅しながら彼女が吐露するのやや感傷的な思い入れが、逆にアメリカの冷静な世界戦略を描き出すということに成功している。<BR>ただし、この「思い入れ」の過剰さが、学術的な報告書としては逸脱しており、読む人によってはややうんざりさせられるだろう。<BR>本書の「占領は懲罰であり、日本は貧しいままとどめおかれるだろう」という予想は、幸か不幸か中国と朝鮮半島の北半分が共産主義下に入ったおかげで覆されたが、日本は結局米国の衛星国に甘んじたまま60年を過ごしてしまった。推薦者櫻井よしこが苦手なリベラルにも一読の価値はあるだろう。
思わず手に取ってしまった本の一つだ。<BR>日本がなぜ第二次世界大戦に突入したのか、なぜ原爆を投下され多大な市民の犠牲を強いられなければならなかったのか…。<BR>広島・長崎の原爆を知らないという日本人が確実に増えている中で、あらためて悲惨な歴史に学ぶ強さと謙虚さをこの本で知らされた思いがする。<BR>冷静な目線で戦争の原因を探り、二度と同じ過ちを繰り返さないという著者の姿勢。それも戦後まもなくの著書。今あらためて日本人もアメリカ人も読み直すべき一冊の本ではないか。<BR>アーそれにしても、今まさに繰り返されている911・イラク。権力者の頭の中は六十年前と変わらないのか。市民よ立ち上がれ!!
冷戦が終了して15年、最近の中国・韓国の「歴史認識問題」が相変わらずかまびすしいのですが、マルクス主義史観にどっぷり浸かった戦後日本歴史界の公式見解(軍国主義日本と大陸侵略)が色あせて来ました。ヘレン・ミアーズ女史は、なんと、終戦直後の占領時代にこの本を物しております。後書きで訳者は、いたるところで涙を流したそうです。まさに、日本人の本懐を代弁しているのではないでしょうか? 19世紀的な白人優位の考えにそまっていたマッカーサーが発禁にするのも頷けますが、歴史の真実は、抹殺できない、ということです。