高機能広汎性発達障害(アスペルガー症候群を含む)の概念について概括し、子供時代から青年期に至るまでのサポートについて書かれた本である。概念的な部分は物足りなさも感じるが、同じ症候群に括られていても、其々の子供によって現われ方が違うということが分かったこと、各年代における具体的な状態像が示されている点は多いに参考になった。そして、この本の一番の意義は、学生時代に留まらず、青年期~成人の社会参加について触れられている点であろう。成長につれて障害が非常に軽くなる方もいらっしゃるだろうが、異邦人・異星人であるかのように社会との意思疎通の難しさを感じ続ける方も多いだろう。また、先に年老いてしまう御両親の子供さんへの心配の深さも察せられる。そういう現状にありながら、巻末の青年達の対談では、不安ももちろん持ちながらではあるが、働くことへの喜び、日々の楽しみ、結婚を含めた将来への夢が語られている。この本からは、障害を一生抱えていきながらも、生涯を通じての自分の生活をどうやって幸せなものにしていくかのヒントが見つかるだろう。また、彼らと関る教師・カウンセラー・相談員達に、その時だけではない、一生を見据えた援助の在り方を考える機会になるだろう。
確かに☆5つと評価されるほど良く書かれた本だったと思う。<P>しかし本を読んでいくうち、<BR>コミュニケーションに苦労する子を持つ親として<BR>これから起こりうるであろうトラブル、つまづきなど<BR>将来への不安が拭いきれなくなり、切なくなった。<P>理解とサポートと題されるこの本には解決する為・理解する為の考えが<BR>書かれているにもかかわらず溜息と涙がでた。<BR>アスペルガーや高機能自閉症の子供を<BR>苦労して育てているのがハッキリと伝わった。<P>その中でホッとした記事が「青年就労者座談会」の働く事の喜び。<P>ここでは学歴・職業が記載され、どんな仕事についているか、<BR>実際に困った事、仕事をしていて良かった事など書かれている。<BR>これを読むと少し未来と希望の光が見えた気がする。
非常に読みやすく、各発達段階のアスペルガー症候群や高機能自閉症の特徴について記述されており、アスペルガー症候群や高機能自閉症のイメージを持つことに役立った。しかし、ソーシャルスキルについての記述は少なく、専門家の実用書としては物足りない点もあるが、アスペルガー症候群や高機能自閉症を子どもさんを持つ御家族が一読する価値はあると思う。