高校の数学の授業で、0.9999999…と9が「永遠」に続くと1になる、と教えられた時に耐え難い違和感を覚えた人、アキレスと亀のパラドックスが不思議で仕方がない人、「無理数は『数』ではない」という主張に興味をそそられる人、そういった方々には是非とも本書を読んで頂きたい。<BR>強烈な個性を持つタジマ教授による「無限論」の講義を、2人しかいない受講者のうちの一人である男子学生の視点から見た物語仕立てで綴られる、不思議で軽くて奥深い無限論入門の書です。<BR>数学だから難しいのではないかと警戒する向きもあるかと思いますが、一般読者の為に適宜わかりやすい説明が加えられるので、過度の心配は無用かと。
無限論に関心のある人ならば、この本で扱われている題材は、<BR>目新しいものではないと思います。しかし、実無限に批判的な立場<BR>から実無限について説明されているのが新鮮。分かっているつも<BR>りだったことを違った視点から考えることが出来ます。<P>この本では、先生と二人の生徒の対話形式で話が進んでいくのですが、<P>ゆるいギャグと軽口も満載で実に楽しくて、大学でのゼミを懐かしく<BR>思い出しました。これは、著者が書いていたような、実際には存在し<BR>なかった理想の授業への郷愁でしょうけど。
この本は中・高校生と哲学や数学、物理を結ぶ架け橋になっていると思います。なので、哲学とかパズルとかに興味を持ち、理屈をこね始めた年代の人に読んでほしいのです。<BR> 野矢さんの本はどれも読みやすいのですが、これもそんな本の一つです。ただし、この本に関して言えば、後半部分を読む際に数学が苦手な人には読みにくいみたいです。わたしは高校1年生の頃に初めて読みましたが、たしかにその頃は全部は分かりませんでした。<BR> しかし、考えることが本当に好きだという方には、自分が分かる範囲で読んでもらっても十分楽しめると思います。また、半年に一回くらい読み返すと、その都度自分の理解できる範囲が変わったりしているのでおもしろいです。そういった意味では末永く読める本なので、ぜひ読んでみてください。<BR>