「その気」さえあったら、誰でも作家になれるんですよ、という見事な滑り出しで、読みはじめたら止まらない。自分の本を書くなど、だいそれた話、文才がない、まだまだ人生の修行が足りん、と考えていた完全主義者のあなたでも、「これならぼくにも書けるかな?ちょっとだけトライしてみるか」と、つい思わせてしまう、パワフルで「元気のでる」内容。おまけに、出版社への売り込みのテク、本が出たあとのPRのしかたまでみっちり書いてあって、本好きが本好きに捧げる究極のハウツー本といえる。余談だが、半年前、この作家廣川氏の本業のコンサルティングの講演をききに行った。演壇にのっそりあらわれた著者は、身長2メートル、体重100キロを超える「大作家」だった・・・。本書には「作家と同時に画家もめざしてヨーロッパを放浪していた」という繊細で芸術的な青春時代の話が書かれていたり、軽妙な文体からも、まったく別のタイプを想像してしまうわけだが、この落差がまた非常に愉快。今年50才の著者を、椎名誠に次ぐ「遅れて出てきた大形新人」として注目しています。
帯のキャッチコピーに惹かれて買いました。仕事のノウハウや体験を題材にすれば、給料をもらいながらネタ探しができるというメリットから、著者はまず「ビジネス書」や「経済小説」にトライすることを勧めます。とくにビジネス書については、企画書を組み立てていくような手順で解説されているので、本当に「仕事」の延長で本が書けてしまうような気がしてきます。出版に向けては、出版社とのコネのつけかた、出版にあたって発生しやすい会社とのトラブルなどについても実例をもとに説いています。著者自身が、コンサルタントをしながら本を何冊も書いており、とにかく「書くこと」が大好きみたい。読んでいて「本づくり」への熱意がひしひしと伝わってきます。
子供のころは、みんなが意欲的だったんだ。創作的だったんだ。だから、あんなに元気だったんだ、と、まずは気づかせてくれる本です。次に、2足のワラジをはいて誰もが「作家」になれる方法があるなんて、素晴らしい。と、思わせてくれる本です。そのノウハウが、また、素晴らしい。なんと言っても著者の経験が長い。その大いなる経験に裏打ちされた「週末作家」へのノウハウが、まったく目からウロコものなのです。読み終わると、不思議な自信がついて、元気になれるのです。あの司馬遼太郎も、アインシュタインも、2足のワラジをはいていたなんて驚きです。