まあ面白い、普通のライトノベルでした。<BR>目新しくもないかわりに、そこそこ楽しめる。<BR>分厚いので、暇潰しにはもってこい。<P>ですが、やはり文章はちと読みづらいかと。<BR>この作者さんの場合、その理由は“文章が下手”だからです。<P>前後の文章の流れが悪く、言葉のリズムも良くない。<BR>説明不足なので、場面がスムーズに頭に浮かんでこない。<P>だから、読んでいてひっかかるのでしょう。<BR>それさえ良ければ、どんなに語彙の多い長文であろうと、楽に読める<BR>ものです。<BR>小説家を志す人間は、まずそこを鍛えられるのですが、同人出身の人<BR>ですし、まあひとつこれ、“味”ってことでね。<P>説明不足の場面に、もっと挿絵を増やすとよかったかもしれませんね。<P>ですが、『ちょっと読みづらい』くらいですし、<BR>もっと壊滅的に下手なものはいくらでもありますしね。<BR>ライトノベルとしては及第点ではないでしょうか。<BR>●かほ●さ●●よりは百倍ましですよアナタ。
奈須きのこの文章の魅力は、しつこい、という点にある。<P>奈須きのこは反復を恐れない。同じ言葉同じ単語を何度も何度も繰り返してしぶとくたたみかけるような文章を書く。『月姫』や『Fate』をプレイしたことのある人なら、そのしつこさがエロシーンにおいても例外ではない、ということを知っているだろう。つまり、反復はサービス精神の反映なのだ。普通の小説家が（純文学もエンタメも含めて）最も回避しようとこころがけることを奈須きのこは平気のへいさでやってのける。それは勇気のいることである。だが、ちょっと考えれば分かることだが、漫画やアニメにおいて一瞬にして得られるカタルシスは、小説においては反復される文章によってしか体現されないというのも事実だ。一見垂れ流しにしか思われない文章がすべて戦略上のものであることを読者は知っておく必要があるだろう。<P>奈須きのこの文章を「高校生の作文のようだ」と批判的に語る人がいるが、それは当然のことである。実際『空の境界』の第一稿は奈須きのこの高校時代に書かれている。『Fate』の創案にいたっては、それは中学時代のアイデアであるということを奈須きのこは周囲の人間に洩らしてさえいる。つまり、奈須きのこはある意味「天才」タイプの作家なのである。物語構成は常套的パターンを踏襲するものが多く、非凡さはさして窺われないが、文章のしつこさは天下一品である。<BR>天才のしつこい魅力は尽きない。
世界観、キャラクターの魅力。それが面白いと感じる人にはとても楽しめる作品。最初の数十ページで「どうかな!?」と感じた人にはお勧めできません。途方も無く長い長いお話が意味不明で続くと思います(笑)。<BR> ダークファンタジーやオカルトが好きな人でもやや好みの分かれるところでしょう。 ただし、この世界や両儀式などの特異なキャラクターたちが、自分の感性に合う人には傑作として楽しめると思います。多少アニメ的(表紙や挿絵などのイメージによる)な雰囲気はあるものの、ここまでダークファンタジーを見事に表現している日本の小説は見たことがないです。<BR> 確かに文章の構成力や筆力はやや偏りがあり、読みにくい部分や難解な表現などもありますが、そこは黒桐幹也ならって、意味が良く理解できないが聞いておくことにしておきましょう(笑)。<BR> しかしながら下手な小説家よりはっきりいって表現力はあると思います。私はこの小説によって奈須きのこさんの存在を始めて知りましたが、なるほどこれは話題になると理解できました。<BR> 物語りは、現在、過去、を行ったり来たりしており、やや注意深く読んでないと、数々の伏線を見逃す事になるので、ある程度しっかり読み進む事をお勧めします。更に考察を深めるべく、２度３度と繰り返し読むことによってますます深みにはまる世界でしょう。<BR> 個人的に一番印象に残ったのは主役の二人を除いて(笑)、忘却録音の玄霧皐月こと偽神の書(ゴドーワード)。その存在を説明するストーリーは奈須きのこさんの力量をもっとも表している個所だと感じました。<BR> あえて星５としましたが、合わない人には星１～２くらいだと思いますので私の評価はあまり参考にしないでほしいところです。あしからず(笑)
