久しぶりに読んだ岡嶋二人の作品。 <BR>既に一度読んだ作品だけど、結末をすっかり忘れていた...(^^; <BR>おかげで結構楽しめました。 <P>大富豪の娘の事故死が原因で地下シェルターに閉じ込められる男女4人。 <BR>事故死に疑いを持つ遺族の手によるものだ。 <BR>閉じ込められた理由を知った4人が、シェルター内で繰り広げる <BR>脱出劇と事故死への推理。 <BR>事故死では無かったのか...犯人は誰なのか...。 <P>やっぱ巧いですね。 <BR>巧みに敷かれた伏線、少しずつ出てくるヒント。 <BR>4人それぞれが論じる推理が交錯して徐々に確信へ迫っていく...。 <BR>気が付けば、閉じ込められた4人と一緒に推理してしまってます。 <BR>それが狙いなんでしょうけど、その持ってき方が巧いです。 <BR>後半の展開がまた面白い。どんでん返しに次ぐどんでん返し。 <BR>2度目でも十分に楽しめる作品です。
80年代を代表するミステリ作家、岡嶋二人の棹尾を飾る、いわゆる「後期三部作」の一つ。数ある岡嶋作品の中でも、一際本格推理度の高い逸品であります。訳も判らず地下シェルターに閉じ込められた4人の男女が、以前自分達が関わった或る事件について、真相探るべくの推理を強要されます。極限状況下で交わされるディスカッション、露呈する人間関係、必死の脱出劇など、読み所は満載。過去の事件の情景がカットバックで挿入され、関係者は身動き取れない状況にありますので、変格の安楽椅子探偵物として読むこともできるでしょうか。ま、事件現場に居た訳ですけどね。そして、ハタと膝を打つ(古いかな)、本格推理の醍醐味が炸裂。スマートで、サスペンスフルな筆致は岡嶋二人の真骨頂。一旦読み始めたら、一気に最後まで読まないと本を置けなくなること必至であります。お奨め。
本書の凄いところは、舞台設定の妙とストーリー運びの巧さ。たとえ食べはじめたら止まらないカッパえびせんを食べる手が止まっても、本書を読みはじめた手は止まらないだろう(と言い切りたいくらいにサラサラ読める)被害者1名。容疑者4名。しかし容疑者の誰もが自分の無実を真剣に主張。誰が犯人だ? 犯人はいないのか?しかし被害者は厳然といるのだ。では誰が?最後にあかされた真実は強烈衝撃を伴って記憶に刻まれるだろう。