算数の本だ、となめてかかってはいけません。分数の加減乗除のルールを機械的操作として丸暗記するのでなく、『実感』を伴って(イメージとして)理解出来ているかどうかが試されますょ。本書と共に「数学の考え方」(矢野健太郎)を併せて読むと、数学を楽しくイメージしながら理解出来るようになります。まさに「数楽」。(^-^)<P>つまり「数楽」の肝は、如何に実感と結びつけるかという処ですね。例えば「A→B」と書いて「AはBであるための十分条件」とか「BはAであるための必要条件」というのは実生活の言葉で理解出来ます。命題『砂糖ならば甘い』と考えれば、『砂糖』は『甘い』ことの十分条件、『甘い』は『砂糖』であるための必要条件ということは国語として自然ですね。更に、この命題の対偶「甘くなければ砂糖でない」は真、この命題の逆「甘ければ砂糖である」や裏「砂糖でなければ甘くない」は偽、というのも自然です。こうして命題とその「対偶」「逆」「裏」の対応関係を容易に導けます。また「『砂糖であって、かつ、甘くない』ということはない」と読み直せば、ベン図や論理記号と対応付けも楽に出来ます。本書を理解する(≠記憶する)と、このような「数楽」な道が開かれることでしょう。
筆者は吉田武氏と並んで、算数、数学教育の達人だと思います。「数」というものがどういうものか、言語性を持つことやその神秘性を物語仕立てでわかりやすく教えてくれます。後半は付録で理論的な話もありますが、こちらも割りと平易です。ページを10進法だけでなく、2進法およびフィボナッチ数列の加法で表示しているのもいい。<P> ところでこちら以上にお薦めなのが同筆者の「数術師伝説」(平凡社)。こちらよりややグレードは高いと思いますが、天才ラマヌジャンの歩みと業績を交えながら、ピタゴラスの定理やフェルマーの最終定理等も含めてその意味と面白さを伝えてくれます。挿絵や4コマ漫画が内容を驚くほど的確に表現しています。子どもだけでなく大人も数や図形に興味が湧くようにさせる逸!品です。どちらも一家に一冊ほしいところです。
最近けっこうたくさん、<BR>「社会人向け・数学やり直しましょう」な本を読んでるのですが、<BR>一押しはダントツでこれです。<P>「教育へのアツめの思い」を「軽いノリ」で隠そうとして<BR>隠し切れないんでけどまあそれでもいいか、という感じです。<P>けっこう短時間でまとめたのかなというボロさも散見なのですが、<P>著者のポテンシャルが高すぎるのでぜんぜんOKです。<P>整数論編もぜひ。