彫刻の森美術館、そしてお台場のフジテレビ社屋。<BR>フジサンケイグループの華やかさの裏には<BR>すさまじい権力闘争の歴史があった。<P>下巻では鹿内信隆から鹿内春雄への権力の継承と<BR>一族をめぐる人間模様、<BR>そしてなぜ鹿内宏明が失脚しなければならなかったのかを描き出している。<P>事実は小説より奇なりというが本当にそのまま<BR>映画やドラマにしてもいいような内容である。
丹下健三がなぜ設計したのか?建築設計者の選定・・・誰が設計するのか・・・経緯は不明な場合が多々あるが、フジテレビの場合は、お台場の土地を取得するため・・・。そんな理由もあるなんて、はじめて知りました。大規模な建物では、なぜその設計屋さんが設計したのか、気になってしまいます(別に全てOPENにとは考えてませんが)。都庁の丹下さんが設計者となった経緯は有名ですね(設計業界では)、大阪では第三セクターの破綻物件をほとんど同じ組織設計事務所が設計しているなど、魔化不思議?だいたい想像のつく?裏事情がそれぞれあるようですが、こんな政治がらみもあるんですね~。
~ なかなか鮮烈な下巻の書き出しである。下巻で面白かったのは、クーデターで追放される鹿内宏明が経営者としてどのようなことをしようとしたかということである。興銀出身で合理的な経営感覚をもつ宏明の施策は、信隆が鹿内家の支配を永久なものとするために組み立てたしくみ(「彫刻の森美術館」を中心にしている)と、そこで生きるのを所与とする人たちに~~よって阻まれる。今、宏明が経営にあたっていたとしたら、評価も変わっていただろう。こんなふうに思えるのも、ライブドア事件の「お土産」であろう。<BR> 圧巻なのはフジテレビ社屋移転に関しての綿密な取材にもとづく叙述である。信隆の壮大な構想、それをめぐっての行政・政治の暗闘をかなり深くえぐっている。なぜ、著者はこれほどまでにこのテーマに食い~~つけたのか。あとがきにその答えが書かれている。<BR> たまたま今日、お台場に映画を見に行った。信隆のお台場構想はすべては実現しなかったが、言ってみればお台場中がフジテレビみたいなものではないか。皮肉なものを感じた。~