萌えな表紙で、電車の中で裸で読むのは、ちょっと<BR>気恥ずかしい装丁ですが、れっき?とした硬派な経済学の<BR>本です。<P>森永先生の、面目躍如な一冊です。<P>「萌えとは何か?」<BR>「萌えはどのように形成されていくか?」<BR>「萌えの今を報告する」<BR>「萌え経済は、オタク経済は、工業化社会システムの<BR>次にくる、新しい市場経済システムだ」<P>徹底した取材(趣味)によるディテール報告と、<BR>森永先生のこだわりも随所に見られ、<BR>萌えのトレンドを知る教養書にもなっています。<P>工業化社会の経済経営システムの核心である、<BR>多品種、大量生産の時代、価格のたたき合い<BR>の時代はすでに終わり、これからは、<BR>こだわりをもった趣味人の市場の認知度が向上し、<BR>すでに弱小零細企業とか個人や芸術家が、萌え市場に向けて<BR>多様化する消費者というか、生産者=消費者向けに、製品、サービス、<BR>を提供する時代、ってことらしい。<P>萌えは、開拓した市場を、大手に後から食われることもないし、<BR>価格競争にさらされることもない。<BR>さらに、オタク、趣味人、萌えは、満足することなく、その願望は<BR>果てしないし、食事をやめても、お金を出す、そういうカテゴリー。<P>本書の冒頭、森永先生が、「萌え男はいかにして形成されていくか」<BR>の分析は秀逸です。<P>とにかく、萌えを、経済学的に徹底的に分析し、<BR>日本経済を救うこれからの基幹産業?を高らかに<BR>宣言した、近年の名著と言えます。(ほめすぎ)
経済面から見ても、オタク市場は既に無視できないほどの規模になっていますが、<BR>「萌え」が一般的に理解されているかと問えばそれは否。<P>非オタクの人が、基礎知識として「萌え&萌え市場」について知りたいというならば、<BR>この本は最適な入門書といえるでしょう。平易で理解しやすい文章、経済学の本の<BR>筈なのに声を出して笑ってしまう箇所も多々あり。
これまでも筆者は「萌え」をキーワードにしてオタクを経済の観点から紹介し、論じてきた。<BR>オタクを扱っているとはいえ、経済の話題であるからして、当然硬いメディアに硬い文章(平易ではあるけれど)で載っていた。従来は、であるが。<P>そこに、この萌え経済学である。裏表紙を見るとオビにはメードさんと一緒に紳士が立っている。この本の外見からこの紳士が森永さんとわかるにも苦労する。<P>もうこの表紙だけで、一般人は立ち寄れそうにない。そして直球のネーミング。「萌え」で「経済学」。しかもこれを出したのは講談社。大出版社がどのような心意気なのか。<P>本文は森永卓郎が今まで言ってきたことを踏襲しつつ、特にオタク関係の現状と将来について述べている。<BR>だが、その論がこのような装いで出てきたことに驚かなければいけない。<P>背表紙だけ見ると普通の本に見えるので本屋さんの棚から抜き出してみるとぎゃー。これは現代のお化け屋敷なのか。<P>内容、筆者、装丁、出版社、タイトルと一つ一つ分けて考えればいくらでもある書籍と言えるだろう。秋葉原や池袋に行けばこのような外見の本はいくらでもあるはずだ。<BR>この分断に伴ってレビューも分断されてしまった。一段落一段落は独立しているのに通して読むとさっぱりわからない。<P>時代を変える!とは言い切れないが、時代の転換点にいるんだなあ困ったなあどうなるのかなあ不安だよなあと思わせられてしまう一冊。