日航機墜落の事故については、当時小学生でしたが、かなりの印象を受けました。 飛行機事故での現場の悲惨さ、この事故の関係者の意見、<BR>など、20年たった今、あらためてなんともいえない気持ちになりました。現実はこの本を読み終わった後でも、第3者の私には理解しがたいものだと思いますが、読んでよかったと思います。<BR>看護婦さん、検視官、身元確認者、医者、関係者の話が貴重だと思います。<P>また、非常識な言葉ですが、スマトラの事故の犠牲者の場合、死体もあがらず、一斉に荼毘されたことを思うと、日航の対応、日本の経済余裕、日本の信仰(亡骸に対面したい)をいうことをも実感する本です。
日航機墜落事故。大きな事件だったので関連書物はそれこそ多岐にわたり、その立場から来る描き方も様々だ。<BR>しかし、数ある「御巣鷹山」関連で、これほどまでに胸に迫り、人間の哀しみと勇気を書き綴った本は無いと思う。<P>とはいえ、この本では当時墜落遺体の検視にあたった担当警察官の主眼で描かれており、企業の姿勢だとか、<P>その事故原因だとか、一般大衆の好奇の目に晒された案件を追うものでは無いため、事件の全体を知るには適切であるとは言えない。<BR>しかし、その時もっとも過酷であった現場で、担当した警察、医者が職業意識を越えていかに団結し、死力を尽くしたか。<BR>そして、航空事故というものの犠牲者、その遺族がその時どんな状況に叩き込まれたのか。<P>人は究極の状況に追い込まれたとき、どういう行動を示すのか。<BR>それらが大げさにではなく、むしろ淡々と語られていくのが狂おしいほどに胸を打つのである。<P>人の死を考えるとき、この一冊の中に何か真実が織り込まれているように思う。<BR>また、筆者がその後関係者各位に取材した労作「墜落現場遺された人たち」も併せて読んでいただきたい。
生々しい描写。激しい衝撃が人間をこんなふうに変えてしまうものか!と驚くほどです。それは現場を実際に見た者にしか分からないでしょう。悲惨な遺体の状況を読めば読むほど怒りがこみ上げてきます。<BR>身元確認の困難さ、そして関係者が遺体の扱いをこれほどまでにていねいにしていたとは!そのほかにも知らなかった事実がたくさんありました。でも、これは知らなければならない事実です。事故の記憶を風化させてはならない!あらためて感じさせてくれる本です。