分散分析が何をしようとしているのか、その限界を含めた特徴が具体的によくわかりました。また、実験計画の理念が分散分析という方法を通して身にしみてくる感じです。分散分析を理解しようと挑戦したけどつまずいたことのある人、分散分析を小手先だけ使ってる人、に目からうろこの出る一品かもしれません。出てくる数式も筆者の伝えたいことを効率的に表現する目的にとどめてあると思います。そもそも、元々数式で表現された理論をまるで数式なしに読み解くのは、芥川龍之介を全部ひらがなで読むようなものです。ご一考を。<BR> 根気強く読まれるなら数式が苦手な人にも、数式に親しむチャンスにもなるし、入門書としてもすぐれた本だと思いました。
本書は、実験計画法の入門書に当たる、文型にでも理解できるような形式をとった良書である。実験には目的がある。本書で用いられる例では、農場実験を行う場合、新品種の稲が収穫量に影響するかどうか、が目的となる。この時注意しなければならないのは、新品種以外の変数が収穫量に及ぼす影響である。実験では、こうした点をコントロールする必要がある。すなわち、実験とは、ある条件を一定としたときに、目的となる特性値に対して、他の変数が影響しているかどうか、を調べる方法であり、実験計画法とは、これら一連の手法を体系的に扱うものである。<P>ところで、実験計画法には、2つの局面がある。1つは実験の計画であり、もう1つはその解析方法である。前者は、目的に応じてどのような実験を行えばよいか、どうすればデータを効率的に集められるか、を考える領域であり、後者は、得られたデータをどう処理して結論を出すか、これを考える領域である。この領域は、分散分析法として知られている統計的手法を用いることになる。<P>実験計画法は、記述のように、他の変数が特性値に影響しているかどうかを調べるものであるが、他の変数が特性値に影響する、というとき、その変数は、1つだけとは限らない。複数個が特性値に影響する場合がある。このように、影響する変数が増えれば増えるほど、実験の計画も複雑になる。こうした場合、実験を計画する、ということが重要になる。こうした状況は、社会が複雑化すればするほど起こりうるものであり、現在において、かなり重要度が高い手法である、といえる。
サブタイトルに分散分析入門とあるが、入門書にしては欲張りすぎ、すぐに数式の羅列がはじまる。ある程度 実験計画法をかじった者が整理のために読むのならともかく、本当の初心者が入門書とするには、無理がある。統計が嫌いになること請け合い。