|
| 会津戦争全史
(
星 亮一
)
斬新であるというのは、戊辰戦争において、会津藩の果たした役割は非常に大きいにもかかわらず、「白虎隊」の悲劇などばかりが取りざされて、会津戦争の全貌や、その持つ意味については、あまり知られていなかった。その意味で、本書は、その「空白部分」を埋めてくれる、斬新な業績であると思う。冷静であるというのは、戊辰戦争が「明治新政府軍対旧幕府軍」の戦いというような、通俗的な説に屈することなく、あくまでも、薩長連合と会津藩の権力闘争という、リアリズムの観点から分析がなされているためである。「勝てば官軍」との名言通り、薩長は、勝ったからこそ官軍になり、明治政府以降の歴史も、その延長なのである。したがって、そこには光も影も多々ある。ただ、歴史はそのように動き、現実と化しているのである。
|