私にはとてもこの本の素晴らしさを人に伝える表現力がありません。<BR>ただ「とにかく読んでみて!」と言うしかないんです。<BR>スケールの大きさ、事実を体験したものだけが書ける言葉の「重さ」<BR>こんな事が自分の生きていた時代に、しかも近くの国で起きていた事実を全ての日本人は知るべきだと思います。<BR>困難な時代の中で主人公とその家族が人間性を失わず、勇気を持って信念を貫き通した事実を我々は知るべきだと思います。<BR>私も、1人でも多くの人にこの本を読んでもらいたくてこのレヴューを書きました。
この作品は、近代中国で何が起こったのか、それが人間にどう影響したのかを、克明にそして丁寧に極力感情を除外して書かれたノンフィクションです。<BR>かなりの長編ですが、読み出したら止まりません。<BR>読者は、これでもか、これでもか、というくらい中国という国家体制に打ちのめされることでしょう。<P>その打ちのめされた後に、中国について何を思うか。これこそが本書が問いかけたかったメッセージではないでしょうか。
最近人に薦められて読んだのですが、私はこの『ワイルド・スワン』というベストセラーは、てっきり小説だとばかり思っていました。<BR>ところが、なんと!ノンフィクションだったんですね!吃驚しました。<BR>そしてその内容にも吃驚しました。<P>20世紀中国の歴史は古代ローマ史に匹敵するくらいの重みがあります。特に私は文化大革命に対して一つの視座を与えられました。こんなにもひどかったとは・・・。そしてこの醜悪さは、人間存在の普遍性に通じているのです。<BR>それから文章がすばらしいです(翻訳ですけど)。感情に流されない文章は精神の強靭さのしるしなのだと教えられました。