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| 大奥婦女記
(
松本 清張
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春日局の活躍からはじまり、矢島局、お玉の方(桂昌院)および元禄時代・綱吉公の大奥の女たちを描いたあと、絵島・生島事件の経緯が独特の味のある文体で書かれていて、歴史物小説を読む醍醐味を堪能できる佳作です。ただしかし、その後の大奥に関しては文政年間の「ある寺社奉行の死」の一文が載せられているだけなので、少し物足りないような気分に陥ってしまうのが残念至極。よって4ツ星に留め置きました。海音寺潮五郎の「江戸城大奥列伝」や吉屋信子の「続・徳川の夫人たち」などが文庫版で出ていますから、それらの袖珍本を併読されると、なお面白いことでしょう。
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