著者の作品はほとんど読んでいるが、これがベスト。 様々なタイプの女性が登場し、誰もかれもが魅力的に描かれていて、それぞれの対比も面白い。<P>ちなみに、とある友人は、最初のほうで誰が犯人がわかったとか。 しかしワタシはと言えば、最後まで真犯人がわからず(というより予想は大きく外れ)、ラストであごが落ちるほど驚いたのでした。<P>ワタシのように鈍い方には更にオススメかも。
物事には因果関係があります。原因があって結果がある。しかし結果はまた、原因となりうるのです。そしてある原因と結果は別の顔をも持つ……。世界は階層的多重構造によってどこまでも複雑化して成り立っています。一つの原因と結果だけを取り出しても、世界を理解することはできません。それでも人は、一時の安寧の為に一部分を切り取らずにはいられない。それが本書の核です。<P> 関東のあちこちで起こる猟奇事件。それらの事件で見え隠れする巨大財閥と密接な関係にある千葉房総の旧家の女性たち。木場修の推理が冴え、今回も絶好調の探偵、榎木津。そして、京極堂が請われて古書店から重い腰を上げた先に待つものは……? 京極堂の言葉の奔流に流されましょう。これが毎度の私の楽しみです。
姑獲鳥の夏を読んで京極に嵌り、魍魎の箱を最高傑作だと思ってました。<P>この本を読むまでは。