心を動かされる親子の物語です。<BR>氏の一部の作品のような完璧な小説ではなく、欠点もままあります。<BR>二つの異なる小説プロットが作中にねじ込まれたような居心地の悪さや、主人公の言動にいらだたされる場面もあります。<BR>ただ、トキオと主人公のあいだの挿話や会話には、はっとさせられるものがあるし、ラストに近づくにつれて感動の度が増すのも確かです。<BR>ただし、この作者の通弊として、結末部分が肩透かしのようになってしまうのは仕方のないところ。<BR>この通弊を逃れているのは『白夜行』『幻夜』のみだと思え、私がこの二作を高く評価する所以もそこにあります。<BR>それでも、少ない欠点をおして読むだけの価値が本著にはあり、よほど厳しい審査眼の持ち主でもない限り満足できる、よくできた小説と思います。<BR>東野圭吾ファンは必読ですが、この作家をこれから読むという人にもお勧めできます。
一年振りに読んだ東野さんの作品。毎年夏にはミステリーを何冊かと思っているのですが、今夏(といっても、もう9月だ。。。)はこの一冊だけ。それなりに分厚い本なのですが読み出したら止まらず、2日で読み終えてしまいました。<P>プロットは東野さんの作品にしては真正直(と見えたのですが)ではありましたが、小さな驚きは満載で、時を越えて語り合う親子の姿は本当に感動的でした。<BR>「生んでくれてありがとう」と素直に自分の両親に言いたい気持ちになりました。<P>未来の息子が、まだ結婚する前のどうしようもない父親を訪ねて、真人間にしてゆくなんていう荒唐無稽なプロットとちょっとしたミステリー的な要素が混ざって、そこにヒューマンドラマがある・・・・なんて贅沢な小説なんでしょう
すばらしいです!!!少しファンタジーチックな所はありますが、そんなこと、微塵も感じられない程の感情が得られました!!未来を感じられる瞬間が生死をさまよう人間にあったということに、想像出来ないほどの、すばらしい愛情表現だと思いました。是非、読んでみて下さい。3日で読み切りました★