『塗仏の宴』後の京極堂シリーズの間に挟む閑話休題としてふさわしい作品であると思う。京極堂シリーズにおいて榎木津の役割はあくまで京極堂をサポートする側だったのに対し、今回は京極堂が完璧な脇役として榎木津の魅力を前面に押し出している。<BR>話の流れ自体も軽妙で、どちらかといえば京極堂シリーズにあるような重苦しいものは感じられない。サブタイトルも、話の主題になる妖怪の類ではなく、落語の謎かけに近いのが面白い。また、今までの「関口視点」ではなく「僕視点」というのが新鮮味がある。<BR>京極堂シリーズを愛でる諸兄にぜひお勧めしたい。榎木津礼二郎の神がかり的な鮮やかさに、きっと舌を巻くだろう。
京極夏彦氏の「姑獲鳥の夏」からはじまる「妖怪シリーズ」のスピンオフ作品です。シリーズを読んでいたほうが登場人物の性格や来歴が分かりやすいと思いますが、何しろレンガ本と呼ばれるほどの厚さなので大変かも知れませんが、読んでなくても主人公の榎木津のハチャメチャな言動と振り回される下僕の皆さんの姿が笑えます。
あの京極堂シリーズの探偵、人の過去が見える目(でもあまり役にたっていない?)をもつ、榎木津礼二郎が主役の物語。<P>1話は、いつものような重苦しい雰囲気で進みますが、2話3話とどんどん雰囲気が(いい意味で)壊れてハイテンションになっていきます。<BR>下僕と称する関口、益田は勿論、3話ではあの腰の重い京極堂まで榎木津ペース。<BR>どの事件も榎木津の毒舌、傍若無人な大立ち回りがあって、榎木津ファンにはたまらない一冊だと思います。<P>それにしても、あの榎木津が主役だから…と想像はしていましたが、ここまで崩れるとは思いませんでした。<BR>同じ主人公でも、視点が変わればこうも違うものなのですね。<BR>私は両方好きですが。<P>読み終わる頃には、榎木津が普通に思えるから、恐るべし!!です。<BR>それくらい、引き込まれます。