アレキサンドロス大王の記録者、エウメネスの物語。<BR> 連載は未読、単行本化を機に購読。一言でいって「おもしろい」。<BR> 読む前はハンニバルとローマの戦いに巻込まれたシラクサ市の攻防を描いた著者の短編「ヘウレーカ」に近い物語なのかと思っていたが読後の印象は代表作「寄生獣」に近いと感じた。<BR> 5話までストーリーを進めたあと主人公の少年時代の回想に入る(同時発売の2巻でもその回想は続いている)展開と本心を語らず、視線での感情表現にはじめはとまどいはしたが、ストーリーの全体像がつかめて来ると、大枠となる伏線から小さくは各シーンの演出にいたるまで妥協を感じさせない濃密さに気づき、今までの表現方法に安住せず、さらなる進化を模索する姿勢に、唸る。<BR> 「この結末を読むまでは死ねない」と思える物語がまた一つ。
「寄生獣」「七夕の国」の岩明均の最新作。<BR>紀元前のオリエントを舞台に、アレクサンダー大王の書記官・エウメネスの生涯を描きます。<P>相変わらず淡々としてますが、職人的な面白さ。<BR>世界史はサッパリの私でも楽しめました。<BR>ハードな世界観なのに、どこかのんびりしているこの感じ、好きです。<P>そしてこの作者お得意のグロい描写は「寄生獣」とほぼ同レベルにあります。<BR>ダメな人はダメでしょうが、この人の無機質な絵だと私は平気でした。<P>この1巻だけだと、正直物足りない。<BR>まだまだ序章という感じです。<BR>ただ2巻に入ると、一気に物語が動き始めます。<BR>怒涛の展開に目が離せません。<BR>出版社もそりゃ2冊同時発売にしますわ。<BR>1・2巻セットで考えて星5つ!
帯によれば、アレクサンダー大王の書記官の生涯、を描いたもの。<BR>初っ端からの岩明均風な知的謎解き展開、確信犯的に構成された伏線など、「読み解いていく」作業が非常に面白い。そして何より、現実を見据え、誠実に考える人間の美しい心理、が随所にうかがえる。<BR>知的好奇心旺盛な人はきっと共感できるでしょう。<P>テーマはおそらく、人種間偏見とかをもっと超えた意味での、人間の能力の優劣からくる適材適所、ではないかと思われる。遠い昔の歴史物語ではあるが、この作者であればきっと現代にも結びつけて考えていることだろう。かりにただのエンターテイメントでも、僕はそう解釈します(笑 。<P>遊牧民族スキタイは、世界で最も勇敢で、誇り高く、そして・・・残忍である!!!