スキタイ人にも温かい人はいたんでしょうが、この巻ではあくまでその「温度ある冷酷さ」が強調されています。<BR>奴隷のスキタイ人トラクスは、家畜以下の扱いを受け続けますが、遂に錠を全て解放し、同胞たちのいる元へ帰還しようと動き出します。<BR>主人公はその逃亡劇の参加者になってしまうわけですが、同じスキタイ人的な本能で幾つもの「死」を認識します。<BR>それはまるで寄生獣のミギー的な、人間的で動物的な「野生」の肯定。<BR>まあレヴェルの高い作品の揃う漫画界の金字塔雑誌アフタヌーンで連載してるくらいですから、面白さ、というよりも、「癒し」は保障されているわけです。ちなみに、この作品のマニュアル本とも言うべき本も出てま・・・。
ホメロスの『オデュッセイア』が一番好きだと語る主人公が、おそらくオデュッセウスと似たような境遇に陥るのであろう所で2巻は終了、1巻で既に故郷に帰ったわけだが、今後は1巻までの波乱万丈の物語が描かれるのだろうか、あるいは書記官時代が描かれるのだろうか。<BR>「本には何も書いていない」と呟く主人公が物語の主人公と似たような境遇になり、さらに書を書く職業である書記官となる過程、今から楽しみだ。