私のおすすめは、「僕が言い続けたことがこの中に全部描いてある」と、帯でホリ○モンが手柄を横取りするような図々しいことを言う第○巻、ではなく、芥山先生の国語の授業が受けられる第5巻です。<P>芥山先生が教えてくれる国語勉強法は、すぐに実行できる具体的なもの。国語は勉強しようのない科目、対策しようのない科目、国語に勉強法はない、というイメージを覆してくれます。また単なる技術だけではなく、国語の勉強は全ての基本であり一生の財産となる重要なものであるということも、芥山先生の説得力ある授業を通じて具体的に学べます。<P>芥山先生の国語勉強法にしたがってトレーニングすれば、受験生はすぐに国語の試験の得点を上げることができるでしょう。社会人の読者も、読書など日常生活を通じて今からでもすぐにトレーニングを始めて、仕事に役立てましょう。<P>全巻中、社会人の読者が得られるものが特に多い巻の一つ。
日本社会の構造変化を促す東大合格マニュアル本
「本音と建前を使い分けることができない」と言う教師が登場する。しかし、これは甘えた考え方である。生きていくうえで建前は人間関係の潤滑油になる。東大受験ではないけれどこういうテクニカルな要素が生きていくことには必要だ。本音だけの世界があるとして、それは、窮屈で単純なものになるだろう。建前があってこそ複雑な人間関係が維持され、問題も最小限で抑えられる。また、この教師は生徒に善良で誠実な人間に育ってほしいと言う。しかしこの発言も非常に無責任な思考停止に陥っている。善良や誠実という言葉は、東大受験プロの芥山先生も4巻で一度否定しているが。何に対してそういう態度をとるのかという具体的なところまで考えていないところが問題だ。仮に、善良で誠実な人がいたとして、僕はまず、今の制度に忠実に従い今の価値観に従順な素直な青年を思い浮かべた。これは明らかに社会にとって弊害である。社会の制度自体、構造疲労を起こしていて古くなっているのにそれに従順だということ現実に即した新しい制度を作ろうとするものの足を確実に引っ張る。また、自分の信じる信念や特定の人物に善良で忠実であるということは、それ以外を認めない独善的な人物とも考えられる。このように、このようなあまりにも漠然とした理想は如何様にも解釈が可能なため、何も言っていないに等しい。この点から、この教師は自分の理想を具体的に考え、わかりやすいよう再構築する必要性があるといえる。