やあ、待った待った。待望のコミックス発売! バジリスクの興奮冷めやらぬうちに山風忍法帖シリーズ第二弾の登場です。でもまだ十兵衛出番なし。七本槍の極悪非道ぶりに慄然としつつ、同時発売の二巻を読もう。
山田風太郎氏の傑作小説『甲賀忍法帖』を、『バジリスク』と言う実に魅力的なコミックに生まれ変わらせたせがわまさき氏。このコラボレーションによる第2作目です。<BR>原作は『柳生忍法帖』、悪逆非道なる主君に反逆し誅戮された国家老とその一党、その者たちの縁につながる7人の生き残った女たちが、主君とその手足となった7人の魔性の如き家臣たちに仇討ちを挑むというのが大まかなストーリー。<BR>但し、主役はその女たちではなく柳生十兵衛。役どころは、武芸に秀でているわけではない彼女たちに、本懐を遂げさせるための手ほどきをする指南役といったところ。時代劇のスターである柳生十兵衛が、あくまでも黒子として暗躍するという構図が見所ですね。<BR>第一巻には、物語の発端となる国家老一党の反逆とその末路、生き残った女たちと柳生十兵衛との出会いなどが描かれています。前作とは異なり、明確なる悪役がいて、それを討ち滅ぼすのが目的というある意味「勧善懲悪もの」なだけに、物語を盛り上げるためには悪役のインパクトが不可欠なのですが、その点ではさすがせがわ氏、実にいやらしく、憎々しげなキャラクターを設定しています。<BR>山田風太郎氏の原作が一級品であるのはもちろんのこと、『バジリスク』でも証明されたように,せがわまさき氏の描写力・構成力なども一級品ですし、何より原作に対するリスペクトをちゃんと表現してくれる描き手である点が素晴らしい。『バジリスク』に並ぶ傑作になると予感しています。
『バジリスク』と同じタッグのため、似たような内容を期待してしまいますが今回はまるで違います。あと、序章部分が長いなどテンポの部分で前作に劣りますが、スロースターターだけどこれまた大傑作なので、ご心配なきよう!<P>昔ながらの仇討ち活劇です。<BR>残虐非道の七剣鬼に親兄弟を殺された美女七人が、その仇討ちに挑みます。彼女らは武家の女というだけでまったく武芸はできません。そんな彼女らの頼もしいコーチが我らが柳生十兵衛!<P>圧倒的に強い相手に、女たちはどう戦うのか?!<BR>そして柳生十兵衛はどうやって女たちを導くのか?!<BR>女たちのガッツと柳生十兵衛の飄然とした風貌がなんとも爽快な作品です。今後もこうご期待!