まず感じたのが著者の観察眼の鋭さである。何でもないような日常の出来事の本質を実に克明に捉えている。そして頭の中で無意識に日米比較ができているようだ。だから日本の読者の視点に立って書かれてあるのだが、実際には彼女は違和感無く対岸で暮らしているのである。言葉だけでなく感覚的にある現象に対して、日米双方の気持ちで"思う”ことが出来る。私にこんな芸当ができれば、人生を2倍楽しむことができるだろう。著者は気づかぬうちにこういった高みに昇っており、上空から世の中を見渡しているかのようだ。完成された帰国子女のすがたをそこに見るのは私だけであろうか。英語だけでなく日本語もほぼ完璧だ。
「アメリカのスーパーエリート教育」(石角完爾、ジャパンタイムズ)を読んでから本書を読んでみました。実際にプレップスクール(寄宿生私立高校)で学んでいる体験談を読むことで、2冊のどこにどれ程のギャップがあるのか知りたかったからです。簡単な比較は出来ませんが、読後に物足りなさを感じます。もっと親の、学校側の、先生のプレップスクールについての考えを多面的に知りたくなりました。卒業後20年ほどたってから回想するほうが、レップスクールで学んだ意義や影響も分かる部分も出てくると思いました。その意味で時間というフィルターを通した後の著書を期待したいです。
よくテレビで見るアメリカンスクールのイメージとは<BR>大分違う名門校の厳しい教育の実態がわかり新鮮であった。<BR>著者は若くしてみずから厳しい環境に身を投じ苦労しながら<BR>も着実になにかを身につけていっている姿に感銘をうけた。