▲著者は「私はジャズが好きなのではなく<BR>マイルスが好きなのだ」と書いていたが、私<BR>は「ジャズが好きなのではなく中山康樹が<BR>紹介するマイルスが好きなのだ」という風に<BR>いつの間にかなってしまった。それだけ彼<BR>の文章には麻薬性がある。
JAZZは即興の芸術とよく言われる。アーティストの個性がぶつかりあい、その場、その時でないとありえない、1回限りの演奏を生み出すもの。本来、そんなJAZZの名演をレコードに納めるということはよほどの運がないとうまくいかないはずのもの。<BR>そうした中、数々の名盤を生み出した「ブルーノート」レーベルのプロデューサー アルフレッド・ライオンが行ったのは、偶然を必然に変えることであった。アーティストの資質、相性を見抜き、個性を尊重しつつ、綿密に練られたシナリオに沿って「出会い」を演出することで名演奏を生産する。<P>レコード1枚について見開き2ページ。どんな人気盤も隠れたマイナー盤も関係なく、同じように解説を加えていく。その中で僕たちは、名プロデューサー・ライオンの軌跡をたどりながら、なぜブルーノートでかくも多くの名盤が生まれたのか、という秘密に迫ることとなる。本書を読んで、改めて紹介されている作品を聴き直してみよう。必ず新しい発見があるはずだ。
ブルーノートレーベルの1500番台の98枚について,それぞれにまつわるエピソードを紹介しています.<P>ブルーノートはひとつのレーベルであることに違いはないのですが,単なるジャズレコードの集合体ではなく,偉大なプロデューサであるアルフレッド・ライオンによって創造されたひとつの哲学と言ってもよいでしょう.それぞれの演奏者はあくまでもプレイヤーであり,レコードあるいはレーベルを作るのはプロデューサの仕事であるということがよく分かります.<P>それぞれのレコードに収録されている曲がどんな感じで,聞き所はどこかというようなことを期待していると若干期待はずれに終わるかもしれませんが,ブルーノートとは何ぞやという向きにはお勧めです.