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英仏百年戦争 ( 佐藤 賢一 )

面白いです。英仏百年戦争の歴史を、その遠因となった出来事から解りやすく解説しています。しかも「後世の人々によって解釈された歴史」の背後に潜む真実を、見事に抉り出しています。「イングランドはフランスの一領地に過ぎなかった」「英仏百年戦争は英側が俺たちの土地を返せと言って仕掛けたフランス人同士の戦争(決してワインが原因ではない)」「まさに英仏百年戦争を通じて国民国家としての英仏が誕生した」等々…。世界史教科書が学生に与えがちな誤解を一挙に粉砕してくれます。とっつきやすくするためか、史上の人物をややコミカルに描いていますが、それはご愛嬌。<BR>佐藤賢一って、小説より歴史本書く才能の方があるんじゃないだろうか…。

今年(2005年=平成17年)は、日露戦争(1904-1905)終結から100年目の年である。逆に言へば、100年とは、日露戦争が終わった年から今年までの年月に他成らない事に成る。ところが、かつて、ヨーロッパで、その100年間に渡って続いた戦争が有ったと、私が、教わったのは、中学1年生の歴史の授業においてであった。その「百年戦争」と呼ばれる戦争について先生が話を始めた時、同級生の一人が、すかさず、「それって、百年も延々と戦争したんですか?」と質問した事を今も良く覚えて居る。先生の答えは、戦いは断続的に、やったりやめたりした、と言ふ意味の物であったが、思へば、この同級生の質問は、「百年戦争」と呼ばれる歴史上の概念の本質を突いた物であった。考えてみれば、一つの戦争が、百年間--日露戦争が終わった年から今年までの年月--に渡って続いた、とするこの「百年戦争」なる概念には無理が有るし、むしろ問はれるべきは、どうして、この様な歴史概念が生まれるに至ったか、と言ふ問題の方なのだろう。私が学んだ処では、「百年戦争」と言ふ概念は、19世紀初めのフランスで、学校教育の場で語られる為に生み出された概念だと言ふが、日本の歴史教科書を巡る論争を思ひ起こす事も無く、そこには、当然、当時のフランス社会の国家意識やイデオロギーが、色濃く反映されて居た筈である。それが、イギリスにも伝わり、やがて、日本にも伝わった訳であるが、佐藤賢一氏のこの本(「英仏百年戦争」)を読むと、この「百年戦争」については、その虚像と実像の差が余りに大きい事に、驚かされずに居られない。更に、それに加えて、この「百年戦争」の時代について、イギリス人が、主にシェイクスピアの作品の影響と思はれる錯覚を多く持って居ると言ふ本書の指摘は、秀逸で、目から鱗(うろこ)が落ちる思ひをさせられる物である。「全ての歴史は現代史である」と言った歴史家が居たが、この言葉通り、「百年戦争」を検証する事は、現代のイギリス人やフランス人の自己イメージを分析する事に直結する、極めて現代的なテーマである事を実感させられる本である。(西岡昌紀/内科医)

そう言えば専門書を除いてジャンヌ・ダルクが活躍した百年戦争の通史というのはあまりお目にかからなかった。著者の本業は小説家であるが、当時のイギリスとフランスの特殊な関係を豊富な地図と作家ならではの飽きさせない文章で明快に整理し、読者に提示している。著者の小説も本書に現われている地道な勉強があって書かれていることだろう。百年戦争前は領主が何国人であろうが、一般民衆にとっては何も関係ないことだった。しかし百年戦争のような農民や都市市民が多数被害に遭うにつれて「ナショナリズムの萌芽」が生じた。最初は単なる「よそ者」意識程度だったろうが、余りにも長い戦争は民衆をして愛国心、郷土愛に目覚めさせることになったのだろう。国民国家への道を拓いた百年戦争の手軽な通史。

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