上品で、上背が高く、教養溢るる好人物…。私は勝手に、児玉清をいい人と決めつけていた。タイトルから察するに、長い俳優人生を続けてきた裏話集だとも、勝手に決めつけていた。しかし読み進むにつれ、児玉清という人の考え方や深め方、周囲の人々への接し方や関係性の築き方、自身のこだわりへの対処などが、非常にわかりやすくはっきりと表されている。これは驚きだった。<BR>また、愛娘との逆縁による別れについても、苦しみながらしっかりとした記憶に基づいて書かれており、平易な文章も著者の配慮からと察する。<BR>児玉清が、木野花司会の「週間ブックレビュー」に出演!なんて事があれば、ものすごく楽しいのになぁと感じる。
クイズ番組の司会でお馴染みの児玉清さん、大学卒業後に東宝ニューフェイスとして採用された事は御存知の方も多いが、そこに至るまでのエピソードは波瀾万丈である。<P>大学院進学予定が母の死で路線変更、何かの間違いで入った東宝でのしがない大部屋時代から独立に至るまでの苦悶、陽が差してきたテレビドラマ時代の長きに亘る役者人生でも常に自分を見失う事無く自分のスタイルを貫いてきた生き方は、普段の穏やかな風貌からは窺い知れない男気が感じられ、また笑いと涙ありの文章にすっかり心を奪われる。愛娘の死、少年時代の思い出など泣かされてしまいました。
本書は、俳優児玉清のエピソードと娘さんの死を回顧録形式で紹介したものである。最近は、アタック25の印象が余りにも強いのではないだろうか。昔の、映画やテレビドラマのときのエピソードがちりばめられているけれども、昔の俳優や女優の人は知らない人もいたのでうんうん頷けないところもありました。<P>本書を読んでわかったことは、<BR>・一時期テレビドラマに出ない時期があったが、それは、台本を読んでから出演するかどうか決めていたという原則を守っていたためらしい。テレビドラマの「HERO]も当初は断る予定だったが、娘さんの助言で引き受けたらしい。その後、テレビドラマにも出始めた。<BR>・「負けるのは美しく」という言葉は、児玉氏のモットーとするところだ。本人いわく、「負け方にこそ人間の心が表われる。」ということだ。そう思うことで心が穏やかになる。<P>本書の感想は、児玉氏の自分らしさというものをふんだんに活かして芸能界を生きているんだなと思いました。こういう生き方は、児玉さんじゃないと出来ないんだなという感じがしました。本人としては、決してすごいことをやってきたわけではないと思うのだろうが、児玉清色というものはなんとなくあるわけですから、大きな成功を収めているとまでは言わないが、ずっと芸能界にいるわけですから、成功している部類には入るのではないだろうか。本書で伝えたかったのは、自分らしさを大切にするということではないだろうか。<P>本書を読んで残念だなと思ったのは、俳優児玉清が、なぜアタック25を始めたのかという部分が全くなかったので、これは一番聴きたいなあと思いました。