沖縄出身で、両親が戦前・戦中・戦後の中で生きてきた世代なので、子供の頃から自然に体験談を聞いて育ってきました。本心はTrumpさんの意見にかなり賛成なのです。でも実際、私の周りの友人達(現在は本土在住です)の沖縄に対する印象は、海がきれいな楽園でタレントを多く排出しいて・・・という程度です。この本をたくさんの人が手にとって読んで、楽しいばかりじゃなく、昔こんな悲しいことがあって、今も苦しんでいる人達がいる事を知ってもらえるだけでも、私の中の長年抱えてきた歯がゆさが少し解消された気がしました。
力作です。<BR>サンフランシスコ講和条約で置き去りにされたもの。<BR>ヘリ墜落事件で改めて浮き彫りになった日米地位協定の問題点。<BR>新聞やTVを読み流し・聞き流していると見えてこない切り口。<BR>400ページの大部な作品ですが息つくひまなく読了。<BR>著者の「戦争論」然りですが、またもや「我々は一体何者なのか」<BR>を読みながら何度も自問。問題作。
なぜ小林よしのりが沖縄を?と思ったが読んでみるとだんだん像を結んできた。これは沖縄と本土の二つの合わせ鏡にして日本人のアイデンティティを探るいわば台湾論の同工異曲だと思う。台湾論はやや美化しすぎたが沖縄のアメリカナイズされている現実も指摘する辺りに彼なりの配慮がうかがえる。卑近な例で恐縮だが自分も沖縄料理は好きな方だが、アメリカナイズされた雰囲気には違和感があった。<BR> 薬害エイズ以前のゴーマニズム宣言の本領は、身の回りにある不条理な問題「言葉狩り」や「オウム」を片付けるところにあった。しかし彼は半ば行きがかり上深く関わらざるを得なくなった薬害エイズ(とオウム)を通じて、平凡人の心の弱さという難問にぶち当たる。<BR> そして職業人として生きることを提案し、さらには平凡の再評価を試みた「私たち普通の日本人」を描き、最後には多くの人に適用できるイデオロギーとして国家主義に行き着いた。やがて、国家主義と接するうちに日本近代史と直面せざるを得なくなった彼は、日本人のアイデンティティを揺るがした敗戦の張本人であるアメリカを敵と看做すに至る。<BR> 小林よしのりは転向したと言われるが、平凡人のアイデンティティの回復という大目標のため、台湾論では中共あるいは国内の左翼、戦争論ではアメリカと中共という具合にフィールドを変えているだけで実はブレはほとんどないのではないか? 転向したと感じる人は反米や反中といった政治的主張に囚われすぎているように思うのだが。