「これは御父さんが○○しているところです」<BR>「太郎君へ」「父ヨリ」<BR>のんきな絵ととぼけた口調で書かれたアメリカから息子へ送られた絵手紙と、やがて硫黄島に赴き玉砕する直前に家族に宛てた手紙が収録されています。<BR>話題は日々のくらし、寝食のことや周囲の様子など、ごく身近なことが中心。<P>そして玉砕直前に、もう生きては帰れぬものと思うように伝える手紙の中でもやはり同じように「台所の隙間風のこと」や「コタツでうたたねをしないように」という言葉がつづられており、日常の延長に戦争があったという事実に胸がしめつけられ、涙がとまらなくなりました。
池波正太郎の銀座日記以来、日記・手紙の興味を持ち、同時代を追体験しています。 この文庫は、玉砕した司令官の北米留学時代からの絵手紙を集めたもので、戦争に向かうなかで家族と国を思う心が溢れています。このような今の時代なら幸せな国際教養人で一生を終えるような方が早死にした戦争とはなんだったのか? しかし、その中で、最後まで国の為に死力を尽くした方がたのおかげで日本に今の平和があると考えさせられた好著でした。
池波正太郎の日記に始まり、日記文から同時代を追体験することを楽しんでいます。北米に旅行するので、たまたま本屋さんに行ったところ、この本が目にとまり購入しました。 戦争という破局に向かいながらも自分と家族を見詰めた文と絵にひそかな感動を覚えました。 そして激戦の末戦死されたわけですが、このような軍人の犠牲の上に今の平和があることを痛感しました。末永く手元に置きたい一冊です。