アルツハイマーという病に冒され、ひとつ又ひとつと全ての記憶が奪われていく、愛した人の事も、その愛の軌跡さえも!<BR>そして全てが失われる前に愛する人の前から姿を消してしまおうと思う・・・辛いけれど・・・愛が深ければ深いほど誰もが選ぶであろう途。<BR>日記形式で書かれているだけに気持ちが痛いほど伝わり、読む者の胸をしめつける。<BR>先日読んだ新堂冬樹氏の「僕の行く道」の母も、自分が我が子の事が判るうちにと選んだのもそうでした。人を一度ならずも真剣に愛した事の有る人には耐えがたい作品です。
映画「私の頭の中の消しゴム」、感動の名作でした。<BR>そして、もうひとつの「私の頭の中の消しゴム」があります。<BR>この映画の原作となった2001年に放送されたドラマ「Pure soul」。<BR>その小説「私の中の消しゴム」を読みました。<P>舞台は東京。<BR>若年性アルツハイマーに侵された主人公の薫が綴った日記。<BR>運命の出会い。恋のはじまり。愛し合った日々。結婚。<BR>そしてそんな恋する2人の運命を変えてしまった病の宣告。<BR>日々彼女の記憶は薄れ、彼への熱い思いとは裏腹に、愛する人も少しづつ頭の中から消えてゆく。<BR>愛は更に深まり、愛するが故、姿を消す薫。<P>記憶が薄れる中で綴られた日記。<BR>最後は「薫」から夫に宛てた手紙、そして「浩介」の愛の言葉と決断で終わる。<P>切なさに通勤電車でふっと涙がこぼれそうになり、そのたび幾度となくページを閉じました。<BR>ラストのシーンは自宅のベッドの上で読みました。<BR>思いっきり泣きました。 <P>心に残る、もうひとつの「私の頭の中の消しゴム」。<BR>言葉だけでこんなに人の心を揺さぶるなんて。言葉の魅力にも感動です。
韓国で映画化された作品ですが、この元となったのが、永作博美主演で2001年に放送された「Pure Soul ~君が僕を忘れても~」のテレビドラマです。作者がその原作を全面改稿したものが、この小説です。この時のドラマも見ていたのだけれど、読み終わって、そのあとがきを見るまで気がつきませんでした。<P>恐らくドラマ自体も感情移入してみていたと思います。今回は、ドラマの事なんてすっかり忘れて読んだわけですが、電車で読んでいた私は、不覚にも思わず涙が出そうになり、堪えるのが必死で、それくらい切ないお話でした。<P>主人公は28歳の薫。薫の日記形式で物語は進んでいきます。<BR>幸せな結婚をし、充実した日々を送っていたはずの薫は、若年性アルツハイマーという病気に侵されて、自分の名前も、歳も、愛した人の事も忘れていってしまいます。<BR>「頭の中に消しゴムがある」と言うシーンが、切なくて、悲しくて、とても印象的です。