終盤、国家最高機密について一市民が知りえて罠を張れるわけがない…と思わせておいて、じつは…というくだりは実に秀逸である。<BR>実際、あの自殺願望者は一人では何も出来なかった。ダビデは捏造犯人について「アメリカ政府ともつながりのある奴だ」と分析する。<BR>そのダビデは、美由紀が下水に入る時に「マニアもびっくりだ」と、前作トランス・オブ・ウォーの出来事が知らないようなことを口にする。<BR>これが実はギャグでなく伏線であり、前作でジェニファーのマインドシーク社がブッシュ大統領の顧問だったこと、ダビデがその計画とは無関係だったことを表しているのである。<BR>一市民が罠を張った、などという話ではない。メフィストも万能のカードではなく、設定が煮詰めてある。そこまで読めてこそシリーズの読者であろう。
岬美由紀、一ノ瀬恵理香、ダビデ、そのほかのキャラクターも実に生き生きしていて小気味いい。<BR>ついに明かされる真相には心底びっくり。そこからの逆転劇も面白い。<BR>なんといってもストーリーの根底にあるヒューマニズムが心地よい感動をもたらす。
今回、すごいのは、ちゃんとすべての人物と情報に意味があって、<BR>隙がないほど完璧なプロットが構成されてる点です。<BR>なぜニートや失業者だけの県があるのか、どうして捏造発掘者が<BR>○○できたのか、なぜダビデが…など、全部きっちり収まるところは<BR>大興奮です。<BR>岬美由紀が1作目っぽくなっているのと、一ノ瀬恵梨香も可愛い!<BR>人間愛にしっかりひとつの答えが出されているのも感動です。<BR>ラストも納得の充実感です。これこそ千里眼シリーズ。絶対おすすめです!!