美しいとされる文字が何故美しく見えるのか、書道家がお手本にするという<BR>中国の石碑の名筆を例にポイントを絞って解説されているのが特徴です。<BR>そのポイントがとても明快でわかりやすいので、まず文字を見る目が養われました。<BR>で、次に斜め六度に斜線の入った練習ページで実際に文字を書いていくと<BR>不思議とバランスの良い美しい文字に近づいてゆくのがわかりました。<P>3つのポイントと簡単な15のアドバイスを覚えてしまえば、<BR>いわゆるお手本が無くても練習できるのがうれしいですね。<BR>おすすめです。
数十年間自分の下手な字に苦しんできました。書道は決して苦手ではなく、小学校や中学校ではうまいと言われたこともあります。でも実務で書く字はひどいもので、小学生が書いた字と間違われたこともあります。いちばん困っていたのは、字の向きがばらばらなことです。この本を読んで、試しに右下部に重心をかけるという規則に注意しながら数文字書いてみたところ、劇的に字が変わっていました。まだ六度法で練習する前にです。<BR> この六度法で字の形の良し悪しを判断する基準ができました。従来とは少し違う視点から字の形を見るもので、これは今までに習って来た字の書き方と矛盾するところはありません。書道の本を見るとこの六度法の三原則に反する指示がされている場合がありますが、その意味も六度法のお陰でよく理解できます。六度法の高度の応用と考えればいいでしょう。本の帯にある国民的発明という言葉は大げさではないと思います。<BR> 今は毎日少しずつ練習し、犬を散歩させる途中では看板や表札の字を眺めて、六度法を基準にするとあれはいい、これは良くないなどと楽しんでいます。
「6度法」は中国の名筆に共通するルールから「名筆を名筆たらしめている条件」を選択し、メソッドとして確立したものです。「6度法」により漢字が美しく書ける効果について、他のレビュアーの皆さんのおっしゃるとおりです。<BR> あえてレビューを追加したのは、「6度法」の実践により、歐陽詢、顔真卿といった中国の書家と時間と空間を越えて、「漢字を書く」という経験を共有出来る点がスゴイと思うからです。<BR> これは、白川静博士が日頃からおっしゃっている「漢字文化圏」に住む我々の特権であり、アルファベットではこのような体験を得ることは出来ません。単に字を美しく書くという目的にとどまらず、漢字の重要性についてまで思いをめぐらさせてしまう本書をお薦めします。