問題作ですね。<BR>読むと疲れますが、読んだほうがいいです。<BR>村上春樹の作品はいつも、ひとつの作品を読み終えてから次の作品を手にとる気が起こるまで時間がかかります。が、必ず次の作品を読もうという気が起こります。<P>この作品は、読み終えてから次の作品を読もうと思うまでにかかった時間が一番長かったです。でも、次の作品を手にとったときの期待もまた最大でした。<BR>なんというか、内容についていくら説明してもそのものを読まないとわからない本だと思うので読んでください。核心を要約できない本なのです。
「ハードボイルドワンダーランド」と「世界の終わり」の二つの物語が、奇数章と偶数章で同時並行して展開していくこの小説を一言で表現するのは難しい。あえて言うならば、自分の意図とは無関係に、別の記憶を埋め込まれてしまった主人公が、自分自身を取り戻しに出掛ける物語と言えるかもしれません。<P>個人のリアリティを形成するものは記憶の断片たちに過ぎない。しかし、そんな記憶たちに意味を付与する行為、事象の底に流れる一貫性を見出す行為が、結果として自己の人格の唯一性を保っているのではないか。言い換えると、古い記憶、つまり自分が生きてきた歴史との関係性においてしか、自己の存在基盤は規定する方法はないのではないか、そんなことを考えさせられました。<P>手が届きそうで煮え切ら!!!いエンディングが、昔はあまり好きではなかったのですが、何年も経ってから読み直すと、実はその安易にカタルシスを与えないところに意味があるのだと思いました。時間を置いて読むと印象ががらっと変わる不思議な小説です。
とりあえず村上春樹さんの小説は長編、短編とも全て読んだと思います。<BR>その中でも一番好きな作品です。<BR>村上作品では「ノルウェーの森」や「羊をめぐる冒険」の方が知名度あると思いますが、この作品は一番のお勧めです。<BR>上下巻で圧倒的なボリュームですが、ついつい続きが気になって一気に読めてしまいます。<P>ふたつの違う物語が同時進行して最後には・・・。当時この手法はとても新鮮でした。<BR>15年位前に単行本で読んで、最近文庫本で読みました。<BR>また機会があったら読み返したくなります。<BR>80年代の作品ですが、時代が変わってもいつまでも古さを感じさせないと思います。<BR>「村上春樹はちょっと苦手・・・」という人にもお勧めできます。