二つの物語が進行する小説について「海辺のカフカ」より、個人的にはこちらの作品の方が好きですね。同時進行の小説は、話が一つに繋がった時は感激だけど(話の構造とか更に高度になるから、大変でしょうね)途中リンクするキーワードがででくる時はとても嬉しい。<P>二つの話しの共通点は、重要な選択をしなければいけないこと。《ハードボイルド・・・》の方では、死か消滅かという事を目前として、私は今までは気づかなかった些細な事にも目がいったり、生きてる人殆どが味わった事のない心情の変化が、うまく描かれていると思う。<P>《世界の終わり》では、影との論議は、普段私達がまさしく心の中で葛藤している様子を「影と僕」がうまく現していると思う。<P>村上春樹さんの小説は、何回も何回も読み直したくなります。そうゆう小説って滅多にないですよね。ただストーリーを楽しむだけではなく、小説にこめられたメッセージや、寓意的な部分を読者がそれぞれ発見するんです。だから、<P>きっと読んだ時の年齢や、日々育成する感性によって、違った読み方も見えてくる。でも最後には、必ず自分自身のことについて考えていると思います。<P>私は先日、初めてこの本を読みました。まだ読破してません。(無論、ページに関していえば上下巻全部読みました)まだ、ほんの一部分しか読みきってないと思います。読み応えがある作品なので、何年もかけて読みたい小説です。
僕がこの本を読み終えて思ったのは、世界の終わりとは自分が暮らしているこの世界の事ではないのかと思いました。村上さんは全ての小説を通して実体がなく、なおかつ何よりも僕たちに大きな影響を及ぼす私たちの集合意識である「何か」を言葉という限られた中で描こうとしているような気がしてなりません。僕は自分が「森の中」にいるのか、平穏で安らかな「世界の終わり」という町で暮らしているのか分かりません。
最後までわくわく・どきどき、春樹作品らしく長編にもかかわらず一気に読めてしまう。オススメ。