自我の物語として大変面白く読みました。<P>客観的にストーリーを楽しむ読み方をしてもある程度楽しめますが、それだけだと物足りなく感じる人もいるだろうと思うし、何よりもったいないと思います。<P>書評には謎が残ったままという意見も見られますが、もしそれらの答えが用意されていたとしたら、この本を読む楽しみは半減するでしょう。読者が自らの中にその答えを見出すべく、作者は魅力的な舞台設定を用意してくれている、と解釈するのが適切と感じます。<P>この作品は、読者自身の物語を喚起する「触媒」として優れていると思います。<P>また、登場人物達のキャラクターが生き生きとしていて、古くからの知り合いであるかのように親近感を抱かせずにはいません。<P>100人いれば100通りの読み方ができ、何度も楽しめる、非常に奥深い作品です。
自分を捜す旅・・・してみたい。でも、現実的には今のところ無理なので、この本を読んでそんな旅をした気分になりました。<BR>「星の時計のLiddle」(内田善美)が好きな人にお勧め。というか、この本を好きな人、是非「星の・・・」も読んでみて下さい。「カフカ」を読んだら思い出して懐かしくって読み返してしまいました。もちろん、少女まんがなのでおんなじという訳ではないのですが。
大昔に「ハードボイルドワンダーランド」という作品があった。ピンク装束のなんとも色っぽいお姉さんと、骨の音を聞くのが仕事のお兄さんがでていたが、最後にと収束して、私はとても面白いと思った。当時としては☆5つだった。<BR>が、「ハードボイルドワンダーランド」に関しては、「なにこれ」という人も多かった。<BR>この本も多分評価が分かれるだろうなと思う。でも私は☆5つ。「ハードボイルドワンダーランド」と同じように最後に一つになって、納得できたときは嬉しかった。<BR>詳しく書きたいけれど、それを書いたら愉しめなくなるので書けないのが残念です。<P>村上ワールドを面白いと感じた人なら愉しめると思うよ。