「春の雪」「奔馬」と続いてきた「豊饒の海」。<BR> まだ「天人五衰」を読んでいないのですが、かなり異色を放つ1冊です。<BR> まず女性への生まれ変わり、そしてそれまでの清顕と勲の記憶を持つという点で前2作と大きく異なります。<BR> そしてここにきてようやく本多の人間らしさというか、生々しさを感じます。<BR> 蓼科の登場とその描写がまがまがしさを漂わせていて、<BR>決して幸せな結末には終わらないのだと感じられました。<BR> <P> 前2作はどちらも不器用なまでに純粋で、その純粋さゆえに<BR>儚く散ってしまった若者を描いたのとは、かなり対照的なこの作品。 <BR> 輪廻転生に関する宗教学の専門書かと思うほどの多くのページには理解が進まず、ちょっと手こずりました。<BR> でも「豊饒の海」3巻にして一番三島らしいものを読んだ気がします。<BR>
起承転結の「転」に相当する第3巻である.<BR>タイやインドの熱情に触れて,理性の人であった本多が感情・本能を取り戻し始める.<BR>本多の理性の崩壊が「転換点」として位置づけられている.<BR>タイやインドの灼熱,本多の理性の崩壊はひじょうに印象的である.<BR>全4巻の中で第3巻がもっとも印象深いと感じる読者は多いのではないだろうか.
退屈だ。<P>言葉の修飾ばかりで、人間が動いてこない。<BR>「安物だけが放つきらめき」と三島由紀夫が<BR>どこかで書いたように思うが、まさにそれだ。