三島の解説が実に分かりやすいし、現代にも通じる重要な部分には全て触れられているので、この一冊で「葉隠」は読んだも同然だと思う。<P>「武士道は死ぬことと見つけたり」という一節が一人歩きしすぎたきらいがある。「毎日死を心に当てることは、毎日生を心に当てること」と氏も書くとおり、それは逆説的なのである。「武士道は死に狂いなり」「毎朝懈怠なく死して置くべし」も同様の意味と取れる。死を意識することで、何事も一生懸命することができるのだ。<P>一瞬一瞬を真剣勝負のつもりですごすこと、まず勇気を持って着手せよ、志の低い現代のサラリーマン、など参考になる。酒席の心得、身だしなみ、人の使い方、忠告の仕方、交際の心得、翌日のことはまえの晩から考えておくことなどはビジネス書の社会人の心得のようだ。<P>座右の銘としたいのは、「武勇と小人は、我は日本一と大高慢にてはならず。・・・知非便捨にしくはなし。」何事の修行も、大高慢と反省の両方が必要だという一節。なるほど、私などは、などと始める前から臆していてはダメだ。何か成し遂げようと思えば、勇気・エネルギーが必要で、「大高慢」はその良い源となるのである。そして、悪いと知ったらすぐに改めればいい。「名人も人なら、われもまた人」の一節も良い。
この国に生きる男性諸氏の必修図書に選定していただきたいような、男の志の美が詰まった本です。男性におかれましては、指南書として。女性におかれましては、男性とはこんなに哀しくも美しい生き物ぞ、ということを知る近道(現代においては遠回り?)の書。
三島の愛した葉隠れは『武士道とは死ぬことと見つけたり』という言葉で有名ですが、これは死を中核に見据えた生きる書なのですね。<P>三島が一つ一つを愛情をもって、解説しているので、とても読みやすくなっています。武士道を学ぶにはまた、日本の心、生き方、精神を学ぶには、まずここから、ということですね。着物を着る、暮らすということの核に触れるということが実はとっても大事なんだろうなと思います!!<P>昨日ふっと本棚で目に付き今朝の電車の中で読み返しましたが、久しぶりの三島の格調高い、きりっとした文章に惚れ惚れしながら、ヤッパシ、この空間はいいなーって、思いながら、しばらくはまた、葉隠れの世界と一つになってみようかと、嬉しい気持ちになりました。<BR>皆様も、是非一度ごらんになってみてくださいね。