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夏の終り ( 瀬戸内 寂聴 )

瀬戸内寂聴が出家する前の瀬戸内晴美の時代に書いた作品。女流文学賞を受賞し、彼女の出発点となった作品といえる。この作品は知子が年上の男と8年生活してきたが、妻への罪意識などで疲れ果て、年下の男とともに生活しても愛をみたすことができない苦悩を描いた作品である。<P>年上の男とは小説家であり、妻がいるにもかかわらず、知子の家に週2,3日は宿泊している。俗語で言えば、浮気と表現できるのかもしれない。ただ、この男は妻に、このことを伝えているのである。もう8年にもなる。理解しあっていれば、このような関係が認められるのだろうか。少し考えさせられる。また、年下の元恋人涼太が関係してきて、4人の登場人物の複雑な感情や表現で作品が構成されている。<P>知子にとって夏は長かったという文が存在する。楽しければ時がすぎるのは早いはずだが、長いということはいかに苦悩の生活をすごしてきたかを示している。言い換えると、どろどろした関係と表現されてもよいように思う。しかし、この作品の結末は実にすっきりしている。どろどろさを感じさせない。これは何であろうか。私にはよく理解できないが、おそらく登場人物の間で苦悩を理解しあう描写が読者によく伝わってくるからではないだろうか。現実、この関係が道徳的には許されない状況という考え方もあると思うが、作品として美しく伝わってくるのは作者の巧みな叙述によるのだろう。

愛することを、ひとりで貫くことは困難である。<BR>そんな当たり前のことを実感してしまった。<P>彼女は、正直に生きすぎただけなんだろうと思う。<BR>社会の道徳とか法律とかに拘束されずに、思いのまま生きただけなのだ。<P>全てのものを枠に捉えて考えようとする世界に生きてしまった主人公が、<BR>とても可哀想に思えた。<P>人それぞれ感想は違うだろうが、<P>私は奔放すぎる自分を悩み苦しみながら生きる主人公が愛しいと思った。

妻のいる家と、愛人の家を規則正しく行き来する男。もう一人の女の影を知りながらも8年間、お互いに無視しあう二人の女。<BR>愛情が平等に注がれていれば、「妻」とか「愛人」とか、形って、どうでもよくなるのかなあ?<P>大人の女の強さ、意地、そして、幼さ、脆さが確かな力で残酷なまでに描き切られています。<P>不倫している人、略奪したい人にはリアルすぎてちょっと痛いかも。

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夏の終り
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