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| 風流江戸雀
(
杉浦 日向子
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確か、毎日新聞にのった書評欄で「私の選ぶ杉浦日向子3点」の中にあげられていたもの。初期の作品であり、この作品で漫画賞を受賞した。一作一作を月刊誌に書き続けたものを本にしただけに、一つ一つの絵に、丹精がこめられ、仕上がり度がすごい。江戸時代の庶民たちの、明るいユーモアが、ほんのりした健康なお色気とともに出ている。読んでて、気持ちが、ほんわかしてくる。これは、百物語とともに作者の傑作である。 江戸の川柳を元にしたマンガ。<BR> 各話4ページで、最初と最後に川柳が一つずつ挙げられているという趣向。<P> 4ページの話だから、とくに話らしい話はなく、川柳の解説めいているのだが、川柳に詠まれた世界はきっとこんなふうだろうと思わせる。もちろん、日常生活が詠み込まれているわけではなく、ちょっと日常から離れたことを詠んでいるわけで、マンガもまた、リアリティの追求などせず、戯画化されている。<P> それでも、絵の分かる人なら、登場人物の着物の柄や、家の造り、調度品などを見て楽しむこともできるのだろう。<BR> そういう素養がないので、少し損した気分。
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