閑居暮らしをする初老の旦那のもとへやってくるお客さんたちが、「実はこんな話を聞きまして・・・」というふうに、ちょっと小耳に挟んだ風な小咄が99話、日向子さん特有のほんわりとした語り口と、シンプルだけど、まるで江戸時代に住んでいるような感覚に陥る絵で表現されたマンガです。<P>「怪談」ですが、いわゆる‘ホラー’だけではなく、心温まる親子愛を描いたものや、異次元空間に遭遇してしまった(?)ような不可思議な出来事を描いたもの、不思議な生き物を見た、というようなどちらかというと『トワイライト・ゾーン』『世にも不思議な物語』に近い感じでした。これだけの数のファンタジーの創作能力に改めて感嘆しました。
確かコミックス単行本(複数巻)でも出ていたと思いますが、100話全てが1冊に収録されている文庫版の方が個人的にはお薦め。<BR>おどろおどろしいわけでもない、あからさまに怖がらせよう!という思わせぶりな表現があるわけでもない・・・だからこそ、一つひとつのさりげない描写がじわりじわりと効いてきます。<BR>コマ割り一つも「巧いな」と感じさせる珠玉の漫画。
日本の怪談を漫画で描いた本なのだが、独特の情緒が漂っていて良い。昔の人の暮らしぶりが伝わってくる。日本人てこうだったよなと思わせる。ハイテクや合理主義ではない日本人の感性が素敵です。それとショートストーリーなのだが、展開が面白い。一日で読み終えました。お勧めです。久々に個性的な本に出会いました。