戦国時代の斉藤道三の話。斉藤道三は典型的な成り上がりの人生です。<BR>僧侶から、京都一の油屋となり、美濃のNo2となる迄が「国盗り物語(1<BR>)」が書かれています。斉藤道三は、様々な計略を用いながら、じょじょに力を付けていきます。この本は読物としても十分に楽しめますが、人心を掌握する術、お金の使い方、時と場所を読む術など、現在の社会で生きていくための参考書として読むこともできると思います。なぜって、封建社会の中で、力をつけ出世することは、現在の年功序列制の中で出世するよりも断然難しいからです。
道三、信長、光秀そして天下統一という戦国という動乱を描いた決定版。<BR>それぞれの人物が司馬さんの筆を通して魅力ある人物として蘇っている。<BR>ただし斉藤道三の人物表現は初期の道三に関する資料が寡少すぎるために少し幻想性を帯びている。<BR>しかし、それなりにに司馬さんのイマジネーションは魅力的であり面白い人物像が出来上がっていると思う。<P>また、信長のイメージを決定的に確立させたのもこの「国獲り物語」であろう。<BR>私は最初に大河ドラマでこれを見たのであるがその時の衝撃は今でも忘れられないものとなっている。<BR>司馬さんも最高にノッテ書いていたのではないだろうか・・・・<BR>ある意味では日本の高度成長期の精神的部分を支えていた作品とさえ言える作品である。
本作品は一・二巻を斎藤道三編、三・四巻を織田信長編と題し、主人公である斎藤道三、織田信長、明智光秀らの戦国の英雄を中心に激動の時代を描いています。<P>斎藤道三編では、主人公道三が浮浪の身から豪商、そして美濃国主へと成長していく様子が描かれています。才能と野心に溢れた道三が自分の目指す"国盗り"に向け、政治軍事謀略織り交ぜて突き進む姿は男の生き方として憧れや尊敬の念を感じました。「神も仏も自分の野望の実現のためにある」とまで考える、戦国に生きる男のたくましさが存分に描かれています。<BR>また、道三編後半で織田信秀も登場してからの"美濃の蝮と尾張の虎"の合戦や外交での激しいぶつかり合いも非常におもしろく、読み応えがあります。<P>そして織田信長編では道三の愛弟子である織田信長と明智光秀が主人公となり、本能寺までの二人の心理描写や時代の移り変わりが克明に描かれます。<P>信長の超合理的な思想のもとに織田家が天下布武を目指していく中、同じ道三の弟子としてのライバル心、中世的社会理念に対する考え方の違い、人材を道具として使い、不要になったら捨ててしまうという信長の苛烈な性格など、本能寺までの過程が細かく描写され、そして遂に謀反を決意します。。。<P>この信長編では光秀が中心に描かれているため、読んでいるうちに自然と光秀に感情移入してしまいます。そのせいもあるかもしれませんが、もし自分が光秀の立場にあったら同じ行動を取っていただろうと思いました。これまでの自分の中での光秀はあくまでも信長を殺した悪役であり、光秀を中心にすえて物事を考えたことがありませんでしたが、この作品がきっかけで自分の中の光秀に対する認識が大きく変りました。<P>戦国時代は本当におもしろいと思います。特にこの"国盗り物語"は戦国の真っ只中を常人では考えられないくらいのエネルギーで生き、運命的に非業の死を遂げた三人を描いているため、最高におもしろいです。司馬遼太郎の数多くの歴史小説の中でも非常の優れた、読み応えのある長編だと思います。<P>掛け値なしにおもしろい作品です。ぜひ一読することを薦めます。