上下巻を合わせるとそれなりのページ数になるが、冗長さを一切感じさせない。<BR>歴史ものであるにも関わらず、ここまでにドラマティックであることは一種の奇跡である。<BR>司馬氏の見事な文筆もさることながら、時を越えて『事実』存在していた、土方や近藤、沖田といった人間たちはとてつもないエネルギーを持っていたのだろう。<P>幕末から維新へと。日本の近代幕開けである。<BR>ここから現代の我々の世界に繋がるのである。<BR>この時代を知ることは非常に有意義だ。
新撰組、明治維新を学ぶには最適な本。<BR>膨大な資料の裏付けを基に土方歳三の視点でこの動乱の時代を冷静な目で眺め、<BR>時代の大きな流れを記述する手法はただただ感嘆するしかない。<BR>下巻を読んで感じるのは戦いの中でしか生きられない男の哀しさだ。<BR>自分の信念に常に忠実な姿は読んでいて敬意を覚えるが好意は抱けなかった。<P>信念に忠実であっても新撰組のため・幕府のためというその信念自体が必ずしも正しかったとは思えない。<BR>しかし彼のような人間は時代の流れに乗ろうと思っても乗ることはできなかっただろう。<BR>限られた選択肢の中で常に自分にとって、また新撰組にとって最もよいと考える道を選択したが<BR>その結果は決して報われることはなかった。<P>自分を貫くことの光と影を土方という人物の中に見たような気がした。
学生時代に1度読み、15年経った今もう一度読み直してみました。<BR>土方歳三という1人の人間の生き方。負けるとわかっていながらも<BR>最後まで自分自身の義をつなぬいた生き方には感銘を覚えました。<BR>勝ち負けではなく、人間として信じた道を最後まで貫ぬくことの大切さを<BR>学んだような気がします。<BR>読み終えた後、なぜか清々しさを感じました。