エッセーとは”佳句”あるべき。<BR>こむつかしい語句をならびたて、訳知り顔で、どうでもいいようなことを羅列する随筆が数多ある中で、池波正太郎氏の書いた本書はまさにエッセーの真髄。<BR>わかりやすく読みやすい簡潔な美しい(佳句)文章。時代の息吹を感じさせ、あざやかにその時々の情景が目に浮かぶ。もちろん、食へのこだわりと愛情は言わずもがな。<BR>直木賞作家の山本一力氏に「このエッセーとの出会いがなければ、今の自分はない」とまで言わしめたほどである。<BR>池波氏は幼い頃に両親が離別し、小学校卒業後すぐに兜町へ働きに出され、苦労を重ねられたそうである。その体験が後に、数々の傑作時代劇を生み出すこととなる。<BR>そのあたりの様子も、本書にはじつに興味深く描かれているので、何度読み返しても面白い。<BR>”食卓”とは、まさに池波氏の人生そのものだったのではなかろうか・・・。<P>追記~文庫版のカバー裏表紙の惹句に「人生感を語る無類のエッセー」とあるが、人生”観”<BR>の誤植では? あるいは小生の勉強不足であろうか。恣意的造語ならばいたしかたなし。
酒の細道という漫画で紹介されていた本です。<BR>短編は話なので電車などで少し読むのによいです。<BR>こういう本を読むと昔の食卓の方がずっと豊かだったのだなと<BR>思います
池波正太郎氏のエッセイ。小説もいいんですけどね、僕は特にエッセイが好きですね。一見、普通に書かれているように思えるんですが、食べ物の話は、本当に美味そうに思えるし、人生の話は本当に深いものに思えてくるんですよね。そういう日常の習慣について書かれたものを、年寄り臭いとか無難とかいってはいけないです。文化ですよ、これはきっと。