ローマ人の物語、文庫版第3巻では、カルタゴとの戦争を描く。第一次<BR>ポエニ戦役だ。<BR>アフリカ大陸北部を本拠とする強国カルタゴと、かなり大きく成長してきた<BR>ローマ。まずは、シチリア島の攻防である。<BR>なぜ、強大なカルタゴと全面戦争に突入するに至ったのか、そして、シチリアを<BR>めぐる戦いは、どう進んだのか、わかりやすく書かれている。<BR>急遽、即席の海軍をつくることになったローマの奮闘ぶりがおもしろい。<BR>「陣形も組めてないじゃん」と海上でカルタゴに笑われるありさま。<BR>でも、ローマは、「海でまともにやりあったら負けるから、相手の船に<BR>乗り移って、陸上の戦いみたいにしてしまえばいい」と考え・・・<BR>大嵐で遭難したり、カルタゴ軍の象にふみつぶされたり、とぼろぼろに<BR>なっても、それに着実に対処していく様子が見もの。<BR>ローマは、自分たちのダメだったところなどを、ちゃんと克服していくのだ。<BR>自分たちのやり方を確立しつつ、状況に柔軟に対応したからこそ、勝てたのでは<BR>ないか?<BR>ローマとカルタゴの一進一退がおもしろく読めて、塩野さんのローマへの<BR>愛情も感じられる本。<BR>字も大きく読みやすい。
ローマ人の物語をまだ途中までしか読んでいませんが、ハンニバル戦記の2冊が一番面白かったです。<BR>ここから読み始めるのがオススメ!
膨張を続けるローマと宿敵・大国カルタゴの対決を描いた3巻。一気に読ませます。<P>サブタイトルの通り、主役はハンニバルです(登場は第4巻ですが)。<BR>アレクサンドル大王の後継者とも言える、この軍事の天才は、父の代からのライバル、ローマを倒すために一生を捧げます。<P>有名なアルプス越え、ガリア人の懐柔、ローマ同盟国の切り崩し、斬新な戦法の導入・・・敵地ローマにあっても百戦百勝のこの天才にローマはどのように立ち向かったのかという点が最大の見所です。<P>また、クライマックスである、天才ハンニバルvs若きスキピオの対決は鳥肌ものの迫力です。<P>さらにこうした戦記としてのおもしろさに加え、最終的にローマが勝利を収めた理由の分析が興味深い。第1巻から読んできた方には非常に納得できる説明ではないでしょうか。<P>宿敵であるハンニバルからも学び、学んだことを消化して「ローマ化」し、さらに成長を続けるローマの底力には心底敬服してしまいます。<P>「勝利と正義は違う」として、武力でうち破った昨日までの敵を同盟国として遇していくローマの政策は、まさに「北風と太陽」の太陽政策といえるでしょう。<P>今後ローマがどのように拡大していくのか、そして何故衰退し滅亡することとなるのか、もう先を読まずにはいられません。