文庫版だとカエサルだけで6冊もある。<BR>しかもカエサル編は戦争の描写が多い。何回も同じような情報がでてくる(1個軍団が何人だったとかどうのこうの・・)。<P>アウグストゥス編では戦争の描写はほとんどない。<BR>アウグストゥスが表向きは共和制を維持しながらいかに帝政へともっていったかが描かれている。<BR>カエサルよりもアウグストゥスのほうが天才っぽい気がする。
絶対的に資料が不足するせいか、古代に関する本には、事実に近いと思われる・中立の立場で同時代人が書いたものも、後世の人が面白半分に・あるいは何らかの意図を以って書いたものも、同列に扱われる例が多い。<BR>その中で塩野氏の著作では、原典を信頼度によってより分けているのに好感を持った。<BR>また引用が正確で・孫引きが少ないので、安心して読める点もありがたい。<P>現地を自分の足で歩いて感じた空気や景色を伝えてくれるのもありがたい。<P>反面、ローマに対する愛溢れるあまり、饒舌に過ぎ、紙数が多すぎるのは辛い。
軍事・政治そして愛の天才であり、誰からも愛されたカエサルの後を継いだアウグストゥス。<P>物静かで慎重であり、体が弱く軍事面ではからっきしダメ。文章力も説得力もカエサルほどではない。しかし、カエサルの後継者としての責任感と使命感は人一倍というアウグストゥスはどのようにして、天才が為し得なかった改革を実現することができたのか。<P>カエサルは、言ってみればスポーツ万能で成績もトップクラス、女子にもモテモテで、男子からも慕われ、教師も周りの学校の生徒も一目置く生徒会長といった、学校のアイドルのようなもの。<BR>その彼から、次期生徒会長の指名を受けた新入生・オクダヴィアヌス君の立場たるや、普通の人なら耐えられないような苦労の連続であったと思います。<P>自分の能力の限界を見極めつつ、慎重に長い時間をかけて目的を実現していくオクタヴィアヌスは、カエサルとは違う意味で尊敬できます。凡才でしかない、僕たちにはむしろ彼の方に共感できることが多いのではないでしょうか。<P>強烈な責任感と目的意識さえあれば凡才でも天才の為し得なかったことを実現できる。そんな勇気を与えてくれます。